衆院選公示から2日後の21日、千葉県内の私鉄駅にりょーさん(45)は降り立った。事前にSNSでチェックした男性の候補者は、駅前の路上でスタッフとチラシを配っていた。
日暮れ時で、人通りは多くなかった。絶好のタイミングだ。近づいていくと、チラシ配りの手を止めた候補者がこちらを向いた。
「子育てのことでやってほしいことがありまして」と切り出し、簡単に自己紹介をした。
「パパの子育てを当たり前にしてほしいんです」
育児に積極的な男性が職場で嫌がらせを受ける「パタニティー・ハラスメント(パタハラ)」や、脱長時間労働への思いを伝えた。候補者は「大事な問題ですよね」とうなずき、「こども庁の議論にも関わっていたので、当選したら引き続き注力します」。配っていたチラシには載っていない内容だった。やり取りは数分間続いた。
最後に「当選したら子育て世代の思いを聞く機会を作ってほしい」とお願いすると、「それができるよう、この選挙を頑張ります」。そう言って候補者はまた、チラシを配り始めた。
候補者の演説を一方的に聞くのではなく、子育て世代の自分が感じた疑問や解決してほしいことを、政治家に直接聞いてみる。もちろん、アポなしで。
「#GoTo候補者」と名付けたこの取り組みは、りょーさんがボランティアで参加する子育て支援団体で提案し、10月上旬から始めた。
りょーさんはなぜ、アポなしで候補者に「GoTo」し続けるのか。やってみて感じた子育て世代としての実感と、対話のコツは。
候補者との直接対話は、りょ…