熱海土石流災害、盛り土の関係先を家宅捜索 造成業者や土地所有者ら

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 静岡県熱海市で7月に発生した土石流で、県警は28日、土石流の起点付近にあった盛り土の造成や安全管理に問題があった疑いがあるとして、盛り土を造成した業者などの関係先に対し、業務上過失致死の容疑などで家宅捜索に入った。捜索先は、盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産業者や現在の土地所有者ら複数にわたった。捜査関係者への取材でわかった。

 土石流は7月3日に発生し、26人が死亡、1人が行方不明になっている。

 県や市によると、盛り土は小田原市の不動産業者が2007年に市に届け出た計画に基づいて造成。ただ、計画を上回る土砂が搬入され、計画より約2倍の量の約7万立方メートル超、約3倍の高さの約50メートルになっていたとみられている。11年2月に土地は、熱海市の現所有者に売却された。県は盛り土が土石流の被害を甚大化させたとみている。

 遺族は8月、不動産業者の元代表を業務上過失致死容疑で、現在の土地所有者を重過失致死傷容疑で刑事告訴していた。県警は今後、押収した資料を分析して関係者に事情を聴くなどして、盛り土の安全管理や土石流発生との因果関係を調べる。

 一方、県と市は行政の対応についても調べ、今月18日に結果を公表。行政側は盛り土崩壊の危険性を認識し、市は11年6月に不動産業者に安全対策を強制的に行わせる措置命令を出す方向となったが、対策工事に着手したため発出を見送ったことが明らかになっている。その後、対策は中断されて完了しなかった。

 これまでの取材に対し、現所有者の代理人弁護士は「行政から土地にさわらないでくれと指導されていたため、土地を購入してから土石流が生じるまで一切の工事をしていない」などとコメントしていた。

 強制捜査をうけて、遺族と弁護団は東京都内で記者会見し、原告側代理人の加藤博太郎弁護士は「異例のスピードで捜査のメスが入った」と評価した。

 遺族ら70人は9月、適切な管理を怠ったなどとして、土地所有者らを相手取り約32億円の損害賠償を求める訴訟も起こしている。