学費払えない…進学あきらめ働く生徒 自己責任?新任教師の葛藤

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加藤あず佐
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 「生徒たちにも、自分と同じ思いをさせてしまうのだろうか」

 大阪府内の高校教師、田島直樹さん(24)は進路の話をすると、もどかしくなる。「大学の学費、うちには厳しいかも」。そう話す生徒に、かつての自分が重なる。

 昨年6月、関東の大学生が呼びかけた「ツイッターデモ」に参加した。

 #すべての学生へ一律学費減額を求めます

 全国の学生が同じハッシュタグをつけ、それぞれの思いを一斉に投稿した。

 田島さんは当時、和歌山大の大学院2年生。大学には奨学金を借りて進学し、大学院の学費は教員補助のアルバイトでまかなっていた。だが、コロナで3カ月間仕事がなく、後期の授業料の支払いが危ぶまれた。

 自室からひたすらツイートした。「国が主導して学生支援を」「現状を変えないと苦しむ人が出続ける」。つぶやきは、1時間半で20回に及んだ。「声は届くのかと、何度も自問した。でも、何もしなければ学生の不安は埋もれていくと思った」

 活動は「リアル」の場に広がり、後輩らと「一律学費半額を求めるアクションわかやまの会」を結成した。「国公私立問わずに、国の予算で」と訴えた署名を1万超集め、和歌山県議会と和歌山市議会に請願書を出したが、ともに不採択だった。

父は死去、母は失職… でも国の支援は対象外

 今年から勤める高校でも、家計のため週5日働いたり、学費を理由に進学をあきらめたりする生徒がいる。「しょうがないよね」と言う生徒に向き合う自分も、返済に何年かかるかわからない数百万円の奨学金を背負っている。

 同会メンバーの和歌山大3年、平見美憂さん(24)は訴える。「政治家に大学生の姿は見えていますか? 苦しいのは自己責任ではないはずです」

 #大学生の日常も大事だ

 #GoToキャンパス

 大学生の窮状を訴える様々なハッシュタグが、今もSNSで飛び交っている。

 東京都内の私立大1年の男子学生(19)は、若者支援に取り組むNPO「D×P(ディーピー)」(大阪市)から受ける毎月1万円の給付金や、米やレトルト食品などの食料配達を頼りに生活する。スーパーで割引の肉を買うため、買い物は午後11時の閉店間際まで我慢し、教科書は古本を探す。

 約10年前に父親が亡くなり…

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    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2021年10月30日23時58分 投稿

    【視点】学びたくても学べない学生がいる。この現実に国家は何かしらの支援を考えなければなりません。教育は社会の、国家の将来を健やかにするために欠かせないからです。貧困を理由に志し半ばでその道を諦める若者がいる。私たち「おとな」はこの現実をもっと真摯に