米英豪の安保協力に懸念くすぶる ASEAN首脳会議が閉幕

シンガポール=西村宏治
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 東南アジア諸国連合(ASEAN)と関係国との一連のオンライン首脳会議が28日、閉幕した。米国やオーストラリアは米英豪3国による安全保障協力「AUKUS(オーカス)」の意義を強調したが、ASEAN側には懸念がくすぶったままだ。

 9月に発表されたAUKUSの注目点は、米国から豪州への原子力潜水艦技術の提供だ。ASEAN内には中国が対抗して軍備増強がさらに進むことや、原子力技術が拡散することへの懸念があった。モリソン豪首相は27日のASEANとの会議で「豪州の長年の核不拡散の公約は変わらない。核兵器は望まず、今後も追求しない」などと訴えた。

 だが、同日にあったASEANと日米中豪など8カ国との会議では、マレーシアのイスマイルサブリ首相が「AUKUSのような展開は軍拡競争を招きかねない」と改めて批判し、東南アジア地域を「核兵器ゼロ」地域にとどめることの重要性を訴えた。

 一方、シンガポールのリー・シェンロン首相はAUKUSの名前は出さず、「新たな安全保障の枠組みが地域の平和と安定に建設的に貢献することを望む」と語った。タイ外務省によると、タイのプラユット首相も、すべての関係者に核関連の国際合意を尊重するよう促したという。

 インド太平洋地域の中心に位置するASEANは2019年、独自のインド太平洋構想「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」を発表。米国や豪州は今回の首脳会議でもAOIPを支持する姿勢を強調し、ASEAN側にも期待する声がある。だが、AUKUSが地域の緊張を高めるとの懸念は根強い。(シンガポール=西村宏治