日銀、輸出や生産は減速認識 自動車の部品不足や中国債務問題を警戒

津阪直樹
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 日本銀行は28日、今年度の実質経済成長率の見通しを前年度比3.4%(政策委員の中央値)とし、前回7月時点の3.8%から引き下げた。コロナ禍の影響などを反映するものだが、国内の景気認識は前回の「基調としては持ち直している」から変えなかった。

 この日の金融政策決定会合では、いまの大規模な金融緩和策を維持した。

 日銀は3カ月ごとに、政策委員による実質経済成長率と消費者物価の見通しをまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表している。

 日銀はコロナへの警戒感から、飲食や宿泊などの個人消費が依然として低迷しているとみる。輸出や生産も部品不足で減速しているとの認識だ。半導体などの部品不足で自動車などの生産が落ち込んだことも、成長率の引き下げの要因になったとみられる。今後注視すべき点として部品不足などの供給制約と、中国の大手不動産の債務問題など海外経済の動向を加えた。

 消費者物価指数は前年度比0.0%(同)と、前回の0.6%(同)から下方修正した。携帯電話料金の値下げや物価指数の基準改定が主な要因だ。足元では原油価格が上昇しているが、いまのところ消費者物価への影響は限定的だとみているようだ。

 経済成長率や物価の引き下げ要因も一時的とみて、見通しの最終年度である2023年度についてはいずれの数値も前回と変えなかった。日銀の黒田東彦総裁は会見で「ワクチンの普及などで感染症の影響は徐々にやわらぎ、供給制約もなくなり、経済は回復していくとみられる」と述べた。

 今年初め、1ドル=103円台だった円相場は足元で113円台まで下がっている。原油価格の高騰もあり、家計や企業への影響を懸念する声が強まる。黒田総裁は「企業の海外生産の拡大で円安で輸出が増える度合いは低下している」としつつ、「今の程度の円安であれば日本経済にとって間違いなくプラスだ」との認識を示した。(津阪直樹)