「はしたない」と言われ 50年前、カーテンの陰で始まった人気体操

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聞き手・石川春菜
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 健康な体づくりができると人気を集める「きくち体操」の創始者で、いまも現役で生徒たちの前に立つ菊池和子さん、87歳。外見のコンプレックスに悩む人たちに届けたいメッセージや、これまでの人生について聞きました。

写真・図版
菊池和子さん=2021年8月31日、川崎市川崎区、迫和義撮影

――50年以上、指導を続けてきました。大切にしていることはなんですか。

 エアロビクスやぶら下がり健康器など、さまざまなブームがありましたが、私は道具を使わずに自分の体と向き合うことを黙々と続けてきました。

 きくち体操では体を支える足の指を意識して動かしますが、「足の指なんて見たことがない」「触るのも嫌」という人も多いです。レッスンでは、なぜその動きが必要なのか、必ず体の仕組みを説明します。自分の体を知り、仕組みに沿って適切に動かせるようになることで、自分で自分をよくしていけると気がつくと、自分が好きになると思うんです。

コンプレックスに悩む人たちへ

――菊池さんの考える美しさとは何ですか。

 生きているということ全てです。体を知り、仕組みに沿って適切に動かせば、どんな人でも美しい。

 多くの人の「美しさ」の捉え方は私と違っていると感じています。体の細さや足の長さは関係ありません。世界でたった1人の自分ですから、これ以上のものはないでしょ。比べるものはなくて一人ひとりが美しいのです。無理なダイエットなどに苦しむ若い人にも伝えたいことです。

 大切な自分の命である体を、愛情を持って最期まで育て続けることができるのは、唯一、自分だけよと伝え続けています。どんなに他の人に「愛しています」と言われたって、代わりに食べたり動いたりはしてもらえないもの。

写真・図版
菊池和子さん=2021年8月31日、川崎市川崎区、迫和義撮影

――そうは言っても、見た目のコンプレックスに悩む人は多いです。菊池さんは悩んだことはないのですか。

 もっときれいになりたいだとか、自分の体のことを不満に思ったことは、思春期も含めて一度もないですね。

 子どもの時に病気で母を亡くし、明日生きていけるかどうかという戦争の中で育ちました。村の男の人はみんな戦地に行き、ほとんど帰ってこられなかった。ひどい空襲の話も聞きました。

 だから命の重みを知っているし、自分の大切な体のことを不満に思うのは体に申し訳ないと思うのです。

おとなしかった子ども時代、「熱血」だった教師時代、体操を教え始めた頃に人目を忍ばなければならなかった理由……記事の後半では、菊池さんのこれまでの人生をたどります。元気のひけつや今後の目標についても聞きました。

手に入らなかった運動靴 体操の基礎に

――どのような子どもだったんですか。

 周りに気を使う、おとなしい…

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