上野通明さん、チェロ部門で日本人初の優勝 ジュネーブ国際音楽コン

森岡みづほ、編集委員・吉田純子
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 スイスのジュネーブで開かれていたジュネーブ国際音楽コンクールのチェロ部門の最終選考が28日行われ、上野通明さん(25)が優勝した。同コンクールは若手音楽家の登竜門として知られ、チェロ部門での日本人優勝は初めて。

 上野さんはパラグアイで生まれ、幼少期をスペインで過ごした。5歳でチェロを始め、2009年、13歳の時に「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクール」で日本人として初優勝した。ルーマニア国際音楽コンクールとヨハネス・ブラームス国際コンクールで第1位を獲得したほか、東京音楽コンクール、ルトスワフスキ国際チェロコンクールでも上位に入賞している。15年に岩谷時子賞奨励賞、16年に青山音楽賞新人賞を受賞している。

 桐朋学園大で学び、毛利伯郎、ピーター・ウィスペルウェイらに師事した。15年、独デュッセルドルフ音大に留学。ワルシャワ、ロシアを含む国内外のオーケストラと共演を重ね、ドイツ、ルーマニア、スロバキアなどにも活動の幅を広げている。

 同コンクールは1939年に始まり、近年は2010年にピアノ部門で萩原麻未さん、19年に作曲部門で髙木日向子さんが優勝している。

 これまでもピアノ部門で田中希代子さん(52年)、宮沢明子さん(63年)、原田英代さん(84年)、バイオリン部門で豊田耕児さん(58年)、木嶋真優さん(04年)、ビオラ部門で今井信子さん(68年)、打楽器部門で吉原すみれさん(72年)、声楽部門で松本美和子さん(67年)らが上位入賞を果たしている。(森岡みづほ、編集委員・吉田純子)

日本の若手チェロ奏者、世界で存在感

 近年、日本の若手チェロ奏者の躍進がめざましい。ロストロポービチ国際チェロコンクール優勝の宮田大さん(2009年)、ブラームス国際コンクール優勝の伊藤悠貴さん(10年)、エリザベート王妃国際音楽コンクール第2位の岡本侑也さん(17年)、ミュンヘン国際音楽コンクール優勝の佐藤晴真さん(19年)らが、国際舞台でそれぞれの個性を存分に開花させている。

 「サイトウ・キネン・オーケストラ」に名を残すチェリストで、指揮者としても小澤征爾さんらを育てた斎藤秀雄さんや、戦前から活躍した青木十良(じゅうろう)さんといったパイオニアが活躍した時代を、堤剛さん、原田禎夫さん、山崎伸子さん、岩崎洸さんらが継ぎ、丁寧に後進を育成してきた。レパートリーの広がりも奏功し、ソロ活動のみならず室内楽も含め、独自のビジョンでのびのびと活動する若手たちが世界の楽壇で強い存在感を示し始めている。(編集委員・吉田純子)

 上野さんが、優勝後の心境について、朝日新聞にコメントを寄せた。コメント全文は以下の通り。

 この度ヨーロッパで伝統と権威のあるジュネーブ国際音楽コンクールに挑戦し、大好きなルトスワフスキのチェロコンチェルトを弾いて優勝という素晴らしい結果を得ることができ本当に嬉(うれ)しいです。こんなに素晴らしいご褒美まで頂くことができたのは、いつも温かく応援して下さる皆様や先生のお陰なので感謝の気持ちでいっぱいです。この特別な思い出と経験を糧に、チェロや音楽の素晴らしさを一人でも多くの人と分かち合えるよう、更に気を引き締めて精進してゆきたいと思います。