福島第一原発、裁判長が初の視察 「過失判断のため現地を見たい」

村上友里
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 東京電力福島第一原発事故の被害を及ぼした津波の対策を怠ったとして、東電株主が旧経営陣に22兆円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁の朝倉佳秀裁判長らが29日、福島第一原発を視察した。東電によると、原発事故の訴訟で、裁判官が原発敷地内を見て回るのは初めて。

 訴訟の争点は、国の地震予測「長期評価」にもとづき東電子会社が2008年に出した15・7メートルの津波想定に関し、①旧経営陣が危険性をどう認識したか②防潮堤建設や原子炉建屋浸水対策をやるべきだったか――など。株主側は「浸水対策などに欠陥があったことを体感してほしい」と現地視察を求めていた。旧経営陣側は「必要ない」と反対したが、朝倉裁判長は今年6月の進行協議で「経営陣の過失を判断するため現地を見たい」と述べた。

 視察は非公開で行われた。株主側によると、朝倉裁判長や株主側、旧経営陣側ら約10人は5時間半かけ、東電の説明を受けながら敷地内を視察。朝倉裁判長は、浸水対策が講じられた部分について「(対策は)事故前からなのか、事故後なのか」と繰り返し東電に質問していたという。

 視察後、株主側の弁護団は報道陣に「現地を見たことで裁判官は確信をもって判断できるだろう。現地を見た上で出す判決は社会への説得力が違う」と語った。訴訟は11月に結審する見通し。(村上友里)