(原点を詠む)知恩報恩の精神 食品加工機械に宿る

KANSAI

[PR]

 歌人・高田ほのかさんが詠むなんつねの原点とは

曽祖父のちおん刀を打つ音がほうおん我を強くしてゆく

 南常之社長の曽祖父でなんつね創業者の南常治郎さんは刀鍛冶(かじ)だった。その包丁づくりの腕は卓越しており、一般的な職人が1カ月で稼ぐ給料を1日で稼いだという。あるとき、食肉加工の客から外国製の機械では日本の食肉をうまく切ることができないという相談をうけた常治郎さんは己がもつ技術でお客様が必要としているものをつくりたいと、刃物という以外は共通点のない機械づくりを決意。連日製品開発に没頭し、1929年、ついにスライサーを開発。これが日本初の食肉切断機となる。

 南常之社長はいう。「私が継いだとき既に創業80年を超えていたんですが、伝統芸能的に同じものをずっと守るのではなく、かといって全く違うことをするのでもない。食肉スライサーを提供する工場から食を生み出すプロセスという、社会インフラを支える企業に大きな魅力を感じました」

 創業者が刀鍛冶だったことから刃物には格別のこだわりがある。ミートスライサーはなんつねの主力製品として進化し、定量で切るタイプや冷凍肉用、ハムなどの加工肉用などラインアップを拡充してきた。さらに、3Dスキャニングは日本では同社だけの技術だ。

 34歳で社長に就任したとき、周りから受けた恩を知りその恩に報いるという知恩報恩を社是に据えた。「自社の製品を販売することが起点ではなく、長年お世話になっているお客様への恩返しを第一に考えていきたい」

 「刀鍛冶」という字は、鉄を鍛えることに由来する。刀を繰り返し打つことで不純物がたたき出され、その強度が上がる。なんつねは知恩報恩の精神にのっとり、現状を是とせずひたむきに攻め続けていく。

      ◇

 なんつね 1925年創業。本社は大阪府藤井寺市。ミートスライサーやハムスライサーといった食品加工機械の製造・販売などを手がける。従業員は227人。

千年先に残せる関西の財産に

 短歌は1300年以上前から絶えず詠み続けられている日本の伝統文学です。日本語が一番美しく輝く五七調のリズムは、長い時間を生き抜いてきた強さを持っています。歌を詠むことは、自分を見つめ直したり、励まし合ったりすることのできる機会となり、コロナ禍で多くの人たちの関心を集めています。

 関西は世界で活躍する企業を多く生み出してきましたが、そこには起業や成長に向けて乗り越えてきた努力や苦労があります。歌人の高田ほのかさんは数珠つなぎで紹介を受けた様々な経営者に企業の「原点」を取材し、短歌にしてきました。それを発信することで、「コロナ禍に生きる関西の人たちや将来起業しようとしている若者たちの活力にしたい。千年先に残せる関西の財産にできれば」と話しています。

#KANSAI

#KANSAI

近畿の魅力を再発見する新企画。社会・経済から文化・スポーツまで、地元愛あふれるコンテンツをお届けします。[記事一覧へ]

連載高田ほのかの原点を詠む

この連載の一覧を見る