オリックスの「ラオウ」初の本塁打王に「悔いなし」 転機はお風呂場

佐藤祐生
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 オリックス25年ぶりの優勝に欠かせなかった4番・杉本裕太郎。190センチ、104キロの大柄な体格も相まって、人気漫画「北斗の拳」の登場人物「ラオウ」の愛称で親しまれる30歳が、32本塁打で自身初となる本塁打王のタイトルをものにした。

 リーグ優勝が決まった27日。会見で「我が1年間に一片の悔いなし」と拳を突き上げたが、昨季までは悔いが残りそうな満足のいかないシーズンを過ごしていた。

 徳島県出身。徳島商高から青山学院大JR西日本を経て、2015年秋のドラフト10位で入団した。「ドラフトって10位まであるんや」と名前を呼ばれて驚いたという。

 2年目にプロ初安打を先頭打者本塁打で飾るなど、長打力は並外れていたが、粗さが目立っていた。昨季までのシーズン最多本塁打数は4。2軍でもがく日々が長く続き、「今までおるか、おらんか分からん選手だった」と振り返る。

 転機は昨年8月、風呂場で訪れた。中嶋聡監督が、2軍監督から1軍の監督代行になった時、風呂で顔を合わせた際に「1軍に一緒に行くぞ」と声をかけられた。

 6年目となった今季、「最後の年だと思って楽しんでやろう」。過去に球団の大先輩、イチローさんと自主練習をともにした時に言われた「それ(本塁打狙いの大振り)では絶対に打てない」という言葉を胸に、コンパクトな打撃を心がけた。追い込まれてもしぶとく安打につなげる柔軟さを身につけた。「ダメになったら取り換えようと思っていたけど、なかなかダメにならなかった」と中嶋監督がたたえるように、3割1厘と打率も残し、頼れる4番へと成長した。

 「社会人で10位で入って、即戦力と期待されていたと思う。その期待を何年も裏切ったけど、チャンスをいただいたおかげで、こういうシーズンを送れた。オリックスという球団に感謝している」

 大学、社会人を経ての入団6年目で初の本塁打王のタイトル獲得。「ホームランは打って回っている瞬間が大好きで、それがあるから野球をここまで続けられているぐらい好き。パ・リーグの良い投手たちから打てたのは自信になりますし、もっと打ちたいです」と喜んだ。

 漫画「北斗の拳」で「ラオウ」が死ぬ時のポーズをまねた本塁打後のパフォーマンスなどでも注目された。登録名を「ラオウ」に変えることも考えたというが、「北斗の拳ファン、ラオウファンに失礼だと思った。それぐらい偉大」と翻意。「ラオウって呼んでもらえるのはうれしいけど、杉本でいきます」

 来たるクライマックスシリーズでも、右拳を何度も突き上げてくれるはずだ。