人生100年時代に悔いる「親ガチャ」 母71歳と娘43歳の願い

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土井良典
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 庭先の家庭菜園に、細い秋ナスがぶら下がる。

 「娘にこんな建物や土地を残しても、とても面倒みきれへんやろなあ」

 母(71)は、壁に亀裂が走る土蔵を見上げた。

 就職氷河期に大学を出た一人娘(43)は、昨年秋からは三重県の農村部にある実家に身を寄せ、毎日アルバイトに出かけている。

 夫(78)の実家の敷地に新居を建てて以来、長く空き家だった旧宅を、5年ほど前に取り壊した。約150万円かかった。江戸時代に建てられたと伝わり、何が収められているのかさえわからない土蔵の解体は、もっとかかるらしい。墓は両家で五つ。代々所有する山林もたくさんあるが、範囲を明確には知らない。

 「終活」の壁は高い。

コロナ禍は、個人ではどうにもならない理由で暮らしが大きく変わってしまうことを痛感させました。やむをえず不本意な状況に陥った人たちに、政治は届いているでしょうか。就職氷河期世代の女性と、母親の日々をたどります。

 娘がこのまま独身なら、墓も娘の代まで。それは仕方がない。貯金もほぼない娘に、価値がない資産は負担でしかない。

 「私が生きているうちに整理してやらんと」

 娘に激怒したことが1度だけある。

 2008年のリーマン・ショ…

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