支持者らから「うわー」の声 政治とカネの逆風、唇をかむ甘利幹事長

2021衆院選自民

上嶋紀雄、高嶋将之、足立優心
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 自民党幹事長で前職の甘利明氏(72)が、神奈川13区で、立憲新顔の太栄志氏(44)に敗れた。重複立候補した比例区復活当選したものの、党ナンバー2の幹事長の選挙区での敗退に、党内や地元に衝撃が走った。

 11月1日午前0時ごろ、甘利氏の選挙区での敗戦が報じられると、神奈川県大和市の事務所に駆けつけた約40人の支持者らから「うわー」と嘆声が上がった。事務所内はその後、沈痛な空気に包まれた。「有権者の厳しい判断だったと思う。中盤まで本人が不在だったことも多少影響したかもしれない」。選対本部長の藤代優也県議はそう悔しがった。

 同じ頃、太氏の事務所では支援者がハグやグータッチで喜び合った。太氏は「草の根の市民活動を続けてきたことが支持されたと思う」と語った。共産との共闘について「自公政権と対峙(たいじ)していくには野党も力を合わせること。一対一の構図で戦うことができたことも大きかった」とも話した。

 これまでの選挙戦で圧勝を重ねてきた甘利氏陣営にとって、選挙区での敗戦は予想外の結果となった。

 甘利氏は岸田政権誕生の立役者で、安倍晋三氏、麻生太郎氏とともに「3A」と呼ばれる重鎮。ただ、2016年1月の経済再生相辞任につながった現金授受疑惑への批判が常につきまとい、幹事長就任後は、野党から説明責任を果たしていないと追及されていた。

 神奈川13区では共産が10月13日に候補擁立を取り下げ、与野党の一騎打ちになった。とはいえ、県議、衆院議員を務めた父正氏から地盤を受け継ぎ、1983年の初当選時から比例復活を含めて12回の当選を重ねてきた甘利氏の強固な地盤。現金授受疑惑が浮上した翌17年の前回衆院選でも希望の党から立った太氏に約6万票差のダブルスコアで圧勝し、地盤が揺らぐことはなかった。陣営関係者は「幹事長として恥ずかしくない勝ち方を」と口にし、野党一本化への焦りはなかった。

 甘利氏本人も序盤は応援演説で全国各地に足を運び、地元に入ったのは21日夜の決起大会だけで、その後は戻る予定はなかった。

 ところが、報道機関の情勢調査で接戦が報じられた中盤以降、様相が急変した。甘利氏の選対本部の会議でも本人不在を心配する声が上がり、甘利氏本人も予定を変更。28日から急きょ選挙区に張り付き、街頭で「一番厳しい選挙。私を信じて全力でお支えをいただきたい」と訴えた。一方、太氏は連日、「政治とカネ」の問題を街頭演説などで取り上げ、「問題を起こしても説明責任すら果たさない。日本の政治を変えていく」と訴えた。

 31日夜の党本部。甘利氏は記者団に「政治とカネの問題が逆風になったか」と問われると、こう苦しい胸の内を明かした。「いくら説明してもなかなか届かないっていうのは、ちょっとジレンマを感じているところです」(上嶋紀雄、高嶋将之、足立優心)

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