福島・小選挙区、野党一本化3勝2敗 与党は処理水問題など響く

2021衆院選自民立憲

荒海謙一、小坪遊 福地慶太郎 見崎浩一 上田真仁、鈴木康朗 長屋護
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 第49回衆院選が31日に投開票され、福島県内の五つの小選挙区のうち野党候補が3勝2敗と勝ち越した。野党は初めて候補者を一本化して選挙に臨み、その効果が表れた。与党は野党共闘を「野合」と応戦したが広がりを欠き、東京電力福島第一原発の処理水問題や急落した米価対策の遅れも響いた。

1区 金子氏、接戦制す

 福島1区では立憲前職の金子恵美氏が自民前職の亀岡偉民氏との接戦を制し、3選を果たした。

 前回は無所属だった金子氏は今回、立憲県連の代表として臨んだ。政権の私物化が進んでいると与党への対決姿勢を鮮明にし、新型コロナ対策の強化を主張。福島第一原発の処理水問題では「理解が得られていない」と、海洋放出の方針撤回を訴えた。

 金子氏は福島市内の事務所で支持者らに拍手で迎えられ、万歳で勝利をかみしめ、「党派を超えて一つになろうという環境を作ってもらえた。(勝利を)政治を変える一歩につなげていきたい」と述べた。

 一方、亀岡氏は常磐道東北道を結ぶ相馬福島道路の開通などを実績として強調。野党共闘を「野合」と批判し、支持を訴えた。

 小選挙区での負けが決まると、亀岡氏は福島市の会場に集まった支援者を前に「ご支援いただいたことに改めてお礼申し上げる」などと語り、深々と頭を下げ、会場からは拍手が送られた。(荒海謙一、小坪遊

2区 根本氏、実績訴え9選

 福島2区では自民前職の根本匠氏が立憲新顔の馬場雄基氏を破り、9選を果たした。

 選挙戦では災害復興への取り組みなどをアピール。31日夜、郡山市の事務所で支持者を前に「途中で接戦と伝えられたが、強力な支援で勝ち抜けた」と挨拶(あいさつ)し、「福島の復興は私の政治(生命)をかけた課題。魅力ある福島をつくって未来を切り開く」と語った。

 共産が候補者擁立を見送り、野党統一候補となった馬場氏は、自公政権のコロナ対策や経済政策を批判。震災からの復興の課題も山積みだと主張した。馬場氏は1日未明、郡山市内の事務所で報道陣を前に、「私自身の努力不足。期待に応えられなかった。ひとえに猛省している」と述べた。福地慶太郎

3区 玄葉氏、節目10選

 福島3区では立憲前職の玄葉光一郎氏が自民前職の上杉謙太郎氏を破り、10選を果たした。

 これまでは他候補の応援で全国を回ることが多かったが、今回は自身の選挙区内をくまなく回った。10回目の当選が確実になり、玄葉氏は「素直にうれしい。きつかった選挙」と振り返り、「節目として思いを込めて戦うことができた。政権交代のある政治に改めてチャレンジし、政治家として勝負をかけていきたい」と話した。

 選挙戦ではコロナ対応や2年前の台風19号の被災を踏まえ、「地元の国会議員として地元の方々を全力で守り抜く」と訴えていた。

 一方、玄葉氏と3回目の戦いに挑んだ上杉氏は比例復活した4年前から地元での辻立ちを続け、選挙戦では政権与党の実績を強調。安倍晋三元首相や高市早苗政調会長らが応援に入ったが、及ばなかった。(見崎浩一)

4区 共闘小熊氏、勝利

 福島4区では、立憲前職の小熊慎司氏が4年前に1209票差で惜敗した自民前職の菅家一郎氏に雪辱を果たし、4選した。

 今回は共産、社民両党が擁立を見送り、野党候補を小熊氏に一本化。選挙運動を連動し、共闘効果を生かしたほか、昨年8月に死去した渡部恒三・元衆院副議長の地盤を継承し、戦いを有利に進めた。

 会津若松市内の宴会場に姿を見せた小熊氏は「地域の課題、国政の課題が山積している。解決に向けて責任の重さを痛感している。ゼロからのスタートで、この選挙区内を駆け巡っていく」と述べた。

 菅家氏は来年度に予定するJR只見線の復旧などを実績として強調。選挙戦終盤には公明党山口那津男代表や細田派の細田博之会長らが応援に入ったが、及ばなかった。菅家氏は支持者らを前に「スタートから厳しい戦いだった。追いつけ追いこせだったが、今回はコロナがあってなかなか会合もなくてきめ細かな活動ができず、こういう結果になった」と述べた。(上田真仁、鈴木康朗)

5区 吉野氏、共産退け8選

 福島5区では、自民前職の吉野正芳氏が8選を果たした。選挙戦では「国際教育研究拠点」の実現を主張。原発処理水の海洋放出問題で、政府に風評対策の着実な実施を求めるとした。

 当確が伝わると、車いすに乗った吉野氏が「ありがとう」と繰り返しながら支持者の前に現れた。選対本部長の吉田栄光県議が「けがを克服できないまま選挙戦を戦った。今日は立つことができない」と説明。吉野氏は「有権者の思いをかみしめて頑張る。課題を一つ一つ解決していきたい」と語った。

 共産新顔の熊谷智氏は、候補者の擁立を取り下げた立憲民主や社民と街頭演説を行い、野党統一候補を強調。共産幹部も応援に入ったが伸び悩んだ。(長屋護)

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