「アジア人!」逃げても殴られ 重傷から復帰のピアニストが語る恐怖

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定塚遼
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 昨秋、ニューヨークの地下鉄で突然襲撃された。「もう同じ仕事はできないかもしれない」。右腕と肩に重傷を負ったジャズピアニスト海野雅威(うんのただたか)さん(41)は、医師にそう告げられた。それから1年と1カ月余り。トラウマは残り、いまだに外を歩く際に恐怖心を覚えることもあるという。だが、懸命のリハビリの末、ステージに戻ってきた。全国11カ所を回るツアーは今月12日、ジャズの聖地・ブルーノート東京での公演で千秋楽を迎える。

 「お前、押しただろう」。昨年9月、仕事帰りの午後7時半ごろ、自宅近くの地下鉄の最寄り駅で降りた。すると、出口をふさぐようにたむろしていた8人ぐらいの若い黒人の男女に絡まれた。触れてもいなかったはずだが、一方的に殴られた。「頭が真っ白になった。何が何だかわからなかった」

 地上に出て逃げても、追いかけて暴行を加えてきた。人の多い公園に逃げたが激しく殴打され、ようやく通行人が警察に通報し、犯人は立ち去った。暴行の途中、「チャイニーズ」や「アジア人」という言葉が飛び交ったのを覚えている。

記事の後半では、「悪い知らせがある」と医師に告げられたことや、回復の軌跡、そして癒えない心の傷について語ります。

暴行「アジア人というだけの理由で・・・」

 ようやく警察が到着すると、真っ先に「ヘイトクライムだ」と訴えた。新型コロナを持ち込んだなどとして、アジア人へのヘイトクライムが報じられることが増えていった時期だった。「アジア人というだけの理由で殴りかかってくる人が本当にいるなんて。しかも多くの人種が住み、最もリベラルとされるニューヨークで。本当にショックだった」

 「悪い知らせがある」。病院の救急救命室に運ばれ、一命を取りとめたが、医師はそう告げた。

 「損傷が激しいので、今後…

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