ルールを守る、守らない? コロナに翻弄された店の本音と不信

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五郎丸健一
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アナザーノート 五郎丸健一記者

 この秋、コロナ禍に翻弄(ほんろう)された人たちを訪ね歩いた。危機の下で国が果たす役割を考えるには、まず当事者の声を聞かねば、と思ったからだった。営業制限が続いた飲食店では、窮状や支援を切々と訴える姿をイメージしていた。しかし、そう単純に切り取れない別の一面が、そこにはあった。

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 「コロナが広がって1年以上たつのに、何をしてきたのか。国はまったく信頼できません」

 東京・新宿にある老舗の洋風酒場の店長(48)は、強い口調でこう話す。

 最初の緊急事態宣言が出た昨年4月から秋までは、行政の要請に従って、休業や営業時間の短縮を続けた。アルバイトの勤務シフトを減らし、昼の営業も始めて苦境をしのいだ。

 「Go To キャンペーン」が盛り上がった秋が終わろうとするころには、感染者が急増。店長は「春のときのように、政府が年末年始の1カ月間、幅広い休業要請をやるしかない。リモートワークを徹底し、社会全体で我慢すれば、その方が早く収まるのではないか」と考えた。

 ところが、政府の対応は店長の覚悟を裏切る中途半端なものだった。経済への悪影響を気にしたのだろう、2度目の宣言は年明けにずれ込み、内容も時短要請の強化にとどまった。

 「これで国民の命と財産を守る気はあるのか。この先も国の言うことを聞いているだけだと、下手すると倒産するかもしれない」

 店長の心の中で、信頼が崩れ落ちた。店のオーナーや従業員と、これからのことを話し合った。感染対策をしっかりとりつつ、自分たちの判断で営業のやり方を決めることにした。

時短要請めぐり割れる街

 以来、感染の急拡大を受けて…

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