11月3日は日本国憲法が公布された日。75年前のこの日を記念して建てられた石碑が、宮城県・蔵王山ろくの農村にある。地元の人も気に留めてこなかったが、近年、見直されてきている。そもそもなぜこの場所に――。探ってみた。
同県蔵王町矢附(やづき)地区は、人口400人足らずの集落だ。畑に囲まれた十字路の角に高さ1・5メートルの碑がぽつりと立つ。碑面はこけむして読みづらい。
新憲法發布記念碑
新憲法発布記念事業トシテ矢附警防團発起ノモトニ有志各位ノ熱烈ナル御後援ヲ得 喞筒(しょくとう)ノ新備並ニ電話ノ新設ヲミタリ 村民各位ニ深謝シテ永遠ニ記念スルタメ之レヲ建ツルモノナリ
昭和二十一年十一月三日
地元の長老らによると、矢附は当時の円田(えんだ)村で唯一、「喞筒(消防ポンプ)」がない地区だった。警防団(消防団)の班長らが発起人となり、寄付を募ることになった。普通に呼びかけても大して集まらないかも知れない。そこで、新憲法の記念事業という大義名分を持ち出したと伝わる。約80人が寄付し、ポンプのほか地区で初めての電話線も敷かれたという。
歳月が過ぎ、碑の由来は次第…