暗黒の海や湖の底、解き明かす水中ロボ 自律型が進歩、深まる用途

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杉浦奈実
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 月や火星よりも解析が進んでいないとされる海や湖の底。これまでは漆黒の闇と高い水圧に阻まれてきたが、近年、水中ロボットが大きく進歩し、幅広い調査が可能になってきた。将来的には、細かい指示をしなくても広い海を自由に動き回り、海底地図をつくったり、生き物を観察したりできるようになると期待されている。

 7月下旬、琵琶湖に浮かぶ船から3台の水中ロボットが水面へと下ろされた。つり下げていたワイヤから切り離されると、みるみる水深約100メートルまで潜っていった。

 3台は、海上技術安全研究所(海技研)と環境コンサルタント会社「いであ」の自律型水中ロボット(AUV=Autonomous Underwater Vehicle)「ほばりん」など。ケーブルで船とつながることなく、水中を自由に動くことができる。

 3台は特に、水底に数メートルまで近づいて撮影するのが得意。この日も、湖の最深部近くをジグザグに進み、ターゲットだった数センチほどのプラナリアの仲間を無事とらえることができた。

 無線操縦の車や空を飛ぶドローンと違い、水中は電波で通信できないため、これまではデータのやりとりや電力供給をケーブルに頼る遠隔操作型ロボット(ROV=Remotely Operated Vehicle)が主流だった。

 ただ、ケーブルは水の抵抗を受けるため流されやすくなるほか、複数のロボットを同時に運用すると絡まってしまう危険性もある。

 ケーブルのないAUVは理想的だが、地形や状況を自ら判断しないといけないのが課題だった。予想外の事態に機転が利きにくかったり、高度な運用技術が必要だったりしていたが、近年、技術が大きく進歩。海技研の篠野雅彦・水中ロボティクス研究グループ長は「トラブルが多かったAUVだが、最近は安定性が増してきた」と話す。

 5機で隊列を組み、比較的速い秒速1~2メートルで広範囲の海底を効率よく観測できるAUVを開発中という。通信を確保するため、これまでは船で追いかけていたが、水面に中継機を置いて運用の労力を減らす方法も想定している。

 技術の進化の一つが、複数の…

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