「よく頑張ったね」見つめ合う警察犬と指導員、写真に秘めたある願い

小野大輔
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 兵庫県警内で今夏開かれた「警察広報用写真コンクール」で、警察犬と指導員を写した1枚が最優秀賞を受賞した。撮影したのは警察署に勤務する職員。単に「いい写真」では終わらない、ある願いが秘められている。

 受賞作は「よく頑張ったね!警察犬グライフ号」。

 公園の芝生にお座りするグライフ号に、鑑識課の担当指導員がほほえみかけている。互いの信頼関係が伝わってくるような、柔らかな雰囲気が印象的だ。

 県警は広報用写真の撮影技術向上を目的に、職員対象のコンクールを1977年から開いている。今年は317点の応募があった。

 最優秀賞の写真を撮影したのは、垂水署会計課の江越友範さん(49)。

 県警職員として採用された江越さんは情報システムや会計の担当が長く、写真は業務と直接関係ない。

 我が子の成長を撮影するうち、15年ほど前から趣味に。一眼カメラや30万円近くする望遠レンズを自腹でそろえ、撮影会などにも参加して腕を磨いている。

 なぜ警察犬と指導員を撮影対象に選んだのか。

 江越さんの狙いは三つあった。

 まず警察犬との絆を表現して警察に親しみを感じてもらうこと。二つ目は、普段は地味な印象のある、鑑識という分野に光を当てること。

 そして三つ目が「女性の活躍」だった。

 「警察はまだまだ『男社会』と思われていると感じる」と江越さん。女性警察官が実際に活躍していることを知ってもらい、さらに活躍の場が広がっていくように――。そんな願いを静かに込めた。

 写真としてのクオリティーにももちろんこだわった。

 機材はすべて自前。警察犬と指導員の温かい表情をいきいきと伝えるため、両者の脇にそれぞれストロボを置いてシャッターを切った。撮影枚数は300枚に及んだ。

 それだけではない。警察や兵庫をPRするという広報用写真の特性を考え、兵庫らしさを盛り込むことを意識した。背景に明石海峡大橋が入って「映(ば)える」、お気に入りの「アジュール舞子」(神戸市垂水区)の公園をロケ地に選び、自ら撮影許可を申請したという。

 最近はスマホで気軽に動画も撮影できるが、江越さんは「1枚からその情景を思い出したり、想像させたりする力があるのが写真の魅力です」。

 県民広報課によると、江越さんの作品は来年の県警カレンダーに採用される。(小野大輔)