大錯覚、山崎隆之八段「弱くなってる」 目を丸くした佐藤康光九段

有料会員記事

松本哲平
【順位戦Live】▲山崎隆之八段―△佐藤康光九段【第80期将棋名人戦・A級順位戦】
[PR]

将棋A級順位戦4回戦・観戦記

▲(先手)山崎隆之八段(0勝3敗) △(後手)佐藤康光九段(1勝2敗)

 朝にちょっとした珍事があった。山崎が部屋を間違えて特別対局室に入り、気づいて引き返したという。序列の高い棋士が多いA級の対局で使われることが多いが、本局が行われた9月29日は事情が違った。渡辺明名人の対局が組まれていたのだ。広瀬章人八段と竜王戦の1組昇級を争う大きな一番である。

写真・図版
対局を振り返る山崎隆之八段=2021年9月29日午後、東京都渋谷区、村瀬信也撮影

 東京・将棋会館では部屋の割り当ては4階入り口のホワイトボードに掲示されている。山崎の名前は大広間の「高雄」の欄にある。目に入らなかったわけではないだろうが、対局に意識が集中していたことの表れと考えれば、むしろ頼もしくも思えてくる。

 苦しい星の佐藤と山崎がぶつかった本局は相懸かりに。最近は研究勝負になることも珍しくないが、力戦派の佐藤が△4二銀(図)と独自路線に走って面白い序盤になった。

写真・図版

▲2六歩  △8四歩 ▲2五歩  △8五歩 ▲7八金  △3二金 ▲3八銀  △7二銀 ▲9六歩  △8六歩6 ▲同 歩  △同 飛 ▲8七歩  △8二飛 ▲3六歩15 △3四歩16 ▲2四歩  △同 歩 ▲同 飛△4二銀7=図(指し手の後の数字は消費時間〈分〉)

 3筋の歩を取られても、飛車を2筋に帰さなければ悪形が残る。とはいえ歩損と突っ張った陣形の負担も大きく、佐藤は「苦労が多い展開」と振り返った。

 指了図、山崎は「難しいながら先手が勝ちやすい展開にできる」と指しやすさを感じていた。

▲3四飛20 △3三銀49 ▲3五飛  △2四歩 ▲3七桂14 △4四歩27

写真・図版

持時間各6時間

消費 ▲49分 △1時間45分(松本哲平)

互いに独創的な棋風

 佐藤と山崎の共通項といえば、形にとらわれない独創的な棋風である。本局の解説役を務める阿久津主税八段は、佐藤の強みについて「研究されづらい形に持ち込んでからの長い中盤戦が、丁寧に深く読むスタイルに合っている」、山崎の武器を「急所がわかりづらい将棋をまとめるバランス感覚」と語る。

 当の両者は相手との違いをど…

この記事は有料会員記事です。残り2459文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
【1/24まで】2つの記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!