最後の優勝から11年 早稲田大を「戦う集団」に変えたスイッチ

[PR]

 第53回全日本大学駅伝が7日に行われる。10月の出雲駅伝を初出場の東京国際大が制したように、近年の大学駅伝は新興勢力の台頭がめざましい。迎え撃つ古豪勢の現在地を探った。

 駅伝の世界で名門と呼ばれる早大も、近年は全日本、箱根、出雲の「学生3大駅伝」の頂点から遠ざかっている。最後の優勝は「3冠」を達成した2010年度までさかのぼる。

 当時コーチだった相楽豊監督が、こう話す。「選手の能力的には当時より今年のほうが、高いものを持っている」

 そう言わせる代表格が千明(ちぎら)龍之佑、中谷雄飛(なかやゆうひ)、太田直希の4年生トリオだ。

 高校時代から全国に名前が知られていた3人。長野・佐久長聖高で全国高校駅伝に3年連続で出場した中谷は、3年時の1区で区間賞を獲得した。群馬・東農大二高の千明も3年連続、静岡・浜松日体高の太田は3年時に都大路を経験した。

 早大でチームメートになった3人は、ある誓いをたてた。

 「こんなに強い選手が集まったんだから、俺らの代では(3大駅伝で)優勝しよう」

 昨年の全日本が、一つの転機となった。

 3区(11・9キロ)を走った中谷が区間トップの記録で駆け抜けた。4区(11・8キロ)の太田も区間2位になるなど、チームは主将の千明をけがで欠きながら、8区間中5区までをトップで通過した。最終的には2年連続での6位という結果にも、中谷は「終盤までトップ争いをできたのは自信になった」と振り返る。

 そして、3人は最上級生となった。3年の井川龍人や2年の菖蒲敦司ら力のある下級生も加わった。

 だが、相楽監督には気になることがあった。

 3冠を達成したときのチームと比べ、勝ちにこだわる姿勢に物足りなさを感じていた。

 今年の夏合宿前、選手たちにこうカツを入れた。

 「3冠をとった代は、もっと勝ちたいという気持ちが出ていたぞ」

 そこから、選手たちの目の色が変わった。相楽監督は言う。「スイッチが入った。11年前のような戦う集団になってきたと感じている」

 今年の3大駅伝初戦となった出雲ではトップと2分50秒差の6位。それでも、中谷の固い決意は揺るがない。

 「それぞれが強さを出した走りができれば、優勝を狙える。ぶれずに、同じ方向を向いて進んでいきたい」

 残す大舞台はあと二つ。今年の全日本も千明を欠くことになった。それでも、昨年手応えをつかんだレースで、悲願を狙う。