中部地震5年 防災士の資格取得を支援 倉吉市

石川和彦
[PR]

 鳥取県中部地震から5年。被災地の一つ、倉吉市は防災リーダー(防災士)を養成する事業に取り組んでいる。市内各地区で続々と誕生した防災士が、積極的に活動を始めている。

 2017年度スタートの「倉吉市地区防災リーダー育成支援事業」。各地区から防災リーダーにしたい人を推薦してもらい、NPO法人日本防災士機構(東京都千代田区)が認証する防災士の資格を取得してもらう。受講料や受験料など、1万6千円の費用は全額を市が助成する。

 今年度までに計約140万円の予算を計上。18年度から防災士が誕生し、これまでの資格取得者は45人(1人は転出)。地区の防災計画策定に参加し、開設された避難所の運営に携わるほか、地区の防災訓練を考えたり、防災研修の講師を務めたりもしている。

 県中部地震の発生直後、市内の自主防災組織があまり機能しなかったという。市防災安全課は、リーダー的な人がいなかったことが原因と考え、この事業を始めた。3年で終了することも選択肢にあったが、防災士が増えれば地区の防災力が強まると考える複数の地区から要望があり、継続している。

 年に1回程度研修会を開くほか、昨夏は作成した市内の洪水・土砂災害ハザードマップの活用方法などについて説明する研修もした。同課の山﨑慎之介課長補佐は「災害が起きる前の活動に一番期待している。防災や減災の知識を地区の人に伝えてもらえれば。いざという時は防災士の知識を活用して避難所運営などでリーダー的役割を果たしてほしい」と願う。

     ◇

 倉吉市の助成を得て2019年度に防災士の資格を取った会社員宿見(やどみ)浩さん(63)は、市内の八幡町(約160世帯)に住み、県中部地震の前から町内の防災部長を務める。「自腹を切ってでも取らないといけない」と思っていたという。

 資格取得後も大雨時に町内の避難所に行ったり、防災研修を企画したりしている。新型コロナウイルス感染防止に努めたうえで、毎年実施している炊き出しを昨年と今年も企画し、新たに災害時に利用する避難経路点検もした。「災害はコロナ禍でも起きますよね」。地元公民館の館長の言葉に背中を押されたという。

 今年の避難経路点検は9月26日にあり、町内の親子ら約15人が参加。市防災センターの協力を得て作成した避難経路図を見ながら、公民館から災害時の避難先の市立明倫小学校まで約1・3キロを歩き、土砂災害の危険がある場所などを確認した。

 宿見さんは、昨年参加した高齢女性が大雨時にリュックを背負って避難所まで歩けないと話していたことを紹介。同行した市防災センターの防災普及指導員は「(災害時は)必ず避難所に行くのではなく、この公民館に来て様子を見てください」と呼びかけた。参加者からは「危険な場所が多い。わかって良かった」といった声が上がった。

 防災士の資格取得支援について、宿見さんは「(資格取得の際に)基礎から実践的なことまで学べた。勉強になったし、自信もついた。学んでいないと研修でしゃべれないし、防災士が言うと言葉に重みが出る」と話している。(石川和彦)