ねんきん定期便などで談合 二十数社の違反認定へ 保険料が無駄に?

田中恭太
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 日本年金機構(東京)が年金加入者に送る「ねんきん定期便」などの作成業務の入札で談合をしたとして、公正取引委員会は印刷業者二十数社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定する方針を固めた。このうち大半の社に対し、再発防止を求める排除措置命令や計約14億円の課徴金納付命令を出す。処分案の通知を始めており、各社の意見を聴いて結論を出す。関係者への取材でわかった。

 関係者によると、通知を受けたのは、凸版印刷傘下のトッパン・フォームズ(東京)、共同印刷(同)、ナカバヤシ(大阪)など。公取委が2019年10月に立ち入り検査に入り、調べを続けていた。

 各社は遅くとも数年前から、ねんきん定期便などの印刷や発送の準備をする業務について、入札や見積もり合わせで事前に受注を調整していた疑いが持たれている。年金振り込み通知書などの入札でも談合の疑いがあるという。

 トッパン社は取材に「対応を慎重に検討したい」、ナカバヤシは「真摯(しんし)に受け止め、再発防止に努める」とした。共同印刷は「法令遵守(じゅんしゅ)の一層の徹底に取り組む」とコメントを出した。

立ち入り検査後に急落…国民の保険料が無駄に?

 ねんきん定期便は、国民年金厚生年金保険の加入者に対し、はがきや封書で納付状況などを毎年誕生月に通知するもの。作成業務は原則として年に1度、一般競争入札にかけられ、外部業者に発注されている。

 機構の資料によると、年間の発注量は、入札時点の見込みベースで6300万件前後で、複数の業者が分け合って落札できる仕組みになっている。入札で決まる単価に基づく発注見込み額は16~19年度発送分で年間計約18億~24億円に上る。費用は国民が支払う保険料でまかなわれている。

 発注額は、公取委の立ち入り検査後に大きく下落。昨年1月に入札があった昨年度発送分の発注見込み額は約7・5億円で、前年度分(約17・7億円)から約6割減った。今年度分はさらに減り約4・3億円になった。検査前は談合の影響で落札価格が高止まりし、国民の保険料が無駄に使われていた可能性がある。

 機構は価格が下がった理由について「要因は把握していない」としている。

 二十数社のうち、トッパン社など一部の社は、機構の前身である社会保険庁が発注するプライバシー保護用の「目隠しシール」で談合したとして、前身の会社や社員が1993~94年に刑法の談合罪や独禁法違反罪で有罪判決を受けている。田中恭太