強烈な異臭、鳴き続ける犬 計1千匹の「劣悪飼育」の現場とは
高億翔 清水大輔
販売用の子犬を繁殖させるため飼育していた多数の犬を虐待したとして、長野県警は4日、同市内で「アニマル桃太郎」の屋号で営業していた会社の元社長、百瀬耕二容疑者(60)ら2人を動物愛護法違反(虐待)容疑で逮捕した。百瀬容疑者らは市内の2カ所で計1千匹の犬を飼育していたとされる。県警が9月初旬に家宅捜索をした後、住宅地の中にある1カ所を取材のため記者が訪ねた。
市中心部のJR松本駅から南東に4キロ弱。田畑と住宅が混在する静かな地域の中に、「繁殖場」はあった。それと分かる看板はなく、路上駐車に対する注意書きが業者名とともに掲げられただけ。敷地外からは、プレハブ2階建ての建物が4棟ほど見えた。
プレハブにはつたが巻き付き、外に向けられた排気口から放たれる強烈なにおいが鼻をつく。窓から見える広さ6畳ほどの室内には、約80センチ四方のケージが二つずつびっしりと積まれていた。動き回る犬によるものなのか、きしむような金属音が室外まで響く。
ケージの中では、ぐるぐると回り続ける犬、「きゃん、きゃん」と鳴き続ける犬、じっとしている犬……。室内は、一人がようやく歩けるほどのスペースしかないように見えた。
代表者とみられる男性がいた…