犬1千匹の劣悪飼育を見過ごした行政 省令施行も「絵に描いた餅」

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太田匡彦
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 ペットとして販売する子犬の繁殖場で、多数の犬が虐待を受けていた疑いが長野県で持ち上がっている。県警は4日、松本市内で「アニマル桃太郎」の屋号で営業していた会社の元社長、百瀬耕二容疑者(60)ら2人を動物愛護法違反(虐待)容疑で逮捕した。虐待が疑われる環境に約1千匹もの犬が置かれていたという前代未聞の事件。その背景には何があり、なぜ見過ごされたのか。

 ペットブームの影響で高止まりしていた子犬・子猫の取引価格は、コロナ禍による「巣ごもり需要」で高騰している。自宅で過ごす時間が長くなり、ペットに癒やしを求める人が増えているためだ。ペットショップが販売用の子犬・子猫を仕入れるペットオークション(競り市)での近年の取引価格は、10年前の約3倍。それが、最初の緊急事態宣言が出た昨春以降、さらにその2倍程度に急騰し、子犬は1匹20万円前後で取引されている。

 関係者によると、百瀬容疑者はこの上昇相場にあわせ、繁殖に使う犬を増加させたという。だが、飼育管理が行き届かず、衰弱したり病気になったりしても適切な処置をしないなどという、動物愛護法違反の疑いが持たれる状況に陥った。そんな環境下にいた犬は約1千匹。百瀬容疑者が利用していた埼玉県内の競り市関係者も「聞いたことがない規模。明らかに管理できない状態になっていた。消費者、取引先のペットショップ、業界全体にどれだけ迷惑をかけるか」と頭を抱えた。

 このような状況が、なぜ見過ごされてきたのか。

 繁殖業者やペットショップに…

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