「私は神父だ」叫ぶ息子に軍服の男が引き金 エチオピア、報復の連鎖

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デバーク〈エチオピア北部〉=遠藤雄司 チェナ〈エチオピア北部〉=遠藤雄司
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 エチオピアで政府と北部のティグライ人民解放戦線(TPLF)側との紛争が始まってから4日で1年が経った。反転攻勢を強めるTPLF側は首都アディスアベバに向かう幹線沿いの要衝を攻略したと主張。政府が全土に非常事態宣言を発令し、前線に近い地域では緊迫感が高まっている。

 4千メートル級の山々が連なり、「アフリカの天井」とも呼ばれる同国北部の世界遺産シミエン国立公園。その入り口にあたるアムハラ州デバークは2日、観光地とは思えない異様な光景を見せていた。

 「軍に参加せよ」「戦争に行こう」。政府が非常事態宣言を出したこの日、政府側の街宣車が町中を走り回っていた。荷台に兵士を満載したトラックが数十台連なり、クラクションを鳴らしながら走り抜け、道ばたにいた若者たちが手を振って応じた。

 TPLFが同州東部の要衝デセと隣のコンボルチャの二つの町を制圧したと主張したばかり。政府からテロ集団に指定された別の反政府勢力「オロモ解放軍」と共闘し、首都に進軍する可能性さえ示唆した。デバークからTPLFが拠点とするティグライ州までは直線で40キロ足らず。最前線に近いこの町の雰囲気から、政府側の強固な対決姿勢がうかがえた。

 紛争は昨年11月4日、TPLFが政府軍施設を襲撃したとし、前年にノーベル平和賞を受けたアビー首相が反撃を命じて始まった。戦闘は長引き、巻き込まれる市民が増え続けている。

 今年7月以降、デバークには戦闘から逃れて新たに避難した人たちが集まっており、町の報道担当者によると、その数は数万人規模に上るという。

「政府軍と戦うだけで農民は襲わない」。そう話していたTPLF兵士らは、敗色が濃くなると住民に銃口を向け始めました。家族を殺された住民には復讐心が広がっています。記事後半でお伝えします。

途絶えた母の音信 「心配だけど町に戻れない」

 避難民キャンプとなった中等…

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