逆風の駒沢大、出雲駅伝の敗戦を糧に雪辱なるか 全日本大学駅伝

山田佳毅
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 駒大は昨年、6大会ぶりに全日本を制し、歴代最多の優勝回数を13に伸ばした。今年は最多優勝回数の更新と、2011~14年に自ら打ち立てた4連覇以来となる大会連覇がかかる。伊勢路の戦いは歴史への挑戦でもある。

 出雲駅伝が中止になった昨シーズン、全日本と箱根駅伝を制して「2冠」を達成。どちらのレースも最終盤に底力を発揮した。

 昨年の全日本、最終8区で逆転劇を演じたエースの田沢廉が、今年も大黒柱だ。箱根後は大腿骨(だいたいこつ)のけがで2カ月ほど休養を強いられたが、復帰後に出た5月の日本選手権1万メートルでは、日本人学生歴代2位の27分39秒21を記録。東京五輪の出場は逃したが、絶対的な安定感は健在だ。課題としてきた「スピード持久力」向上のためのメニューを組み、調子を上げてきた。

 田沢だけではない。鈴木芽吹、唐沢拓海ら、特に2年生の成長が著しい。

 鈴木は日本選手権1万メートルで田沢に次ぐ3位に入った。唐沢は関東学生対校選手権(関東インカレ)2部の5000メートル、1万メートルでともに日本選手トップに入るなど、チームの柱の一人に成長した。同学年の花尾恭輔、青柿響、白鳥哲汰らも今が伸び盛りだ。

 箱根後、主将は田沢、副将は箱根で9区を走った山野力と、ともに3年生が担っている。来年以降を見据えた体制だ。山野は「(田沢とは)同学年で意見が言いやすい。チームが向上していくためにどうしたらいいのかをよく話し合い、引っ張っていくようにしている」と話す。

 実力者ぞろいの選手たちを前に、大八木弘明監督(63)は手応えを口にしてきた。「箱根のあとは東京五輪の選考会に出場するレベルの選手もいたし、中堅の選手も5000メートルで13分台、1万メートルで28分台を出す気持ちで走り込んだ」

 8~9月は選抜した選手による合宿を実施して競わせた。「ちょっとペースが全体的に速い感じがあり、落とさせた。お互いに負けたくない、という気持ちがあったんでしょう」と大八木監督は振り返る。

 ハイレベルな部内競争。日々しのぎを削る環境はときに、もろ刃の剣となる。

 今シーズンの学生3大駅伝初戦となった、10月の出雲。優勝候補に挙げられていたが、6区間のいずれも区間賞を取れず、一度もトップでたすきをつなぐことができなかった。5位。悲願だった「3冠」の夢は早々と消えた。

 「練習で選手が目いっぱいやり過ぎて、余裕がなかった」と大八木監督。誤算もあった。主力の鈴木がけがのため、走ることすらかなわなかった。田沢以外、駅伝の経験の乏しい1、2年生で構成した出場メンバーたちは、本来の力を発揮できなかった。

 3人抜きで気を吐いた田沢は厳しい表情で言った。「一人ひとりがこのレースを終えて、どのような経験値を得たか、ということ。これをきっかけに上げていって欲しい」

 あれからおよそ1カ月。前大会覇者への逆風は続いている。出雲を欠場した鈴木が今大会も間に合わなかった。逆転勝ちした箱根を走った登録メンバーは4人にとどまる。

 全日本で強さを発揮してきた駒大の真価が問われようとしている。(山田佳毅)