都会生活でふるさとの魅力を再確認、発信へ起業 青森県むつ市職員

安田琢典
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 学生時代にいったん離れ、戻ってから下北半島の魅力を再確認した青森県むつ市の若手職員が、地域おこしに取り組む一般社団法人「シモキタクリエイト」を立ち上げた。コンセプトは「若者に魅力ある街づくり」。公務員の兼業規定に抵触しないために取締役としての報酬はゼロだが、ふるさとへの熱い思いが若者を奮い立たせた。

 法人は、むつ市大畑庁舎市民生活課の高木将人主任(35)と、市都市計画課の黒沢さやか主任(35)が中心となって立ち上げた。2人ともむつ市出身で、学生時代は都会で暮らしていた。

 高木さんは青森高校に進み、卒業後は東京都内の大学に進学。卒業後の2012年4月に市役所に入ったが、「久々に戻ったむつ市は少子高齢化が進み、地域おこしの担い手が足りない」と感じていた。

 黒沢さんは地元の大湊高校から札幌市内の大学へ。卒業後も札幌市内の自動車販売会社で働いていたが、ふるさとへの思いが捨てきれず、17年4月に入庁した。「改めてむつ市は観光資源に恵まれていると思った」

 起業のきっかけは地元を走るJR大湊線だった。今年9月に開通100周年を迎えることから、知人らとともに記念イベントの開催を企画。会社員ら地元住民との触れ合いを通じ、様々なアイデアが浮かんだ。それを具現化しようと起業を思い立ったのだという。

 今年7月には宮下宗一郎市長の許可も得て、8月2日に正式に発足した。

 きっかけとなった大湊線100年の記念イベントは、コロナ禍でほとんどが中止になってしまった。ただ、作製した看板は大湊駅に掲げられた。

 新たなイベントも、コロナ禍で仕掛けにくいこともあり、現在は構想を温めている段階だ。むつ市の食や観光名所を紹介するパンフレットを作製して全国に発信▽旧海軍から受け継がれているカレーやポタージュ、プリンなどスイーツのレシピ本を発行▽オートバイや自転車によるツーリングで人気が高い国道279号を宣伝――。

 2人のほか、活動に理解を示した中古車販売会社の男性経営者が法人の運営にあたる。イベントごとに寄付金を募るほか、自治体からの補助金を申請することを想定している。

 高木さんは「興味を持ってくれた公務員や学生らも参加してほしい」と話している。問い合わせはシモキタクリエイトへメール(shimokita.create@gmail.comメールする)。(安田琢典)

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