米商務長官、対日本の鉄鋼関税「撤廃したい」
米国のレモンド商務長官は4日、トランプ前政権が発動した米通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミ製品への追加関税について、日本との間でも「撤廃したい」と明言した。10月30日、バイデン政権は欧州連合(EU)との間で一部免除に合意し、日本は、追加関税がかかったまま取り残された数少ない主要同盟国の一つとなっている。
レモンド氏は米議会での記者会見で、「EUとの合意と類似の合意を日本との間でもまとめようとしているか」との質問に「イエス」と答えた。そのうえで「我々は同盟国日本との間でも232条の関税の問題を解決したいと思っている。我々としては、関税を撤廃したい」と述べた。
米政権とEUがまとめたのは「関税割り当て」と呼ばれる枠組み。EUからの鉄鋼・アルミ製品について、米側が一定量を無関税で輸入することを認める。バイデン氏の訪欧をきっかけに合意し、EUとの対立が目立ったトランプ前政権からの転換を印象づけた。
トランプ前政権は2018年3月以降、安全保障を理由に、中国や日本、EUなどに、鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税をかける措置を順次発動。カナダや日本、EUなど安保上の同盟国も対象としたことで、主要7カ国(G7)の枠組みを動揺させる結果にもつながった。知的財産侵害を理由とした「通商法301条」による対中制裁関税とともに、前政権下の通商紛争を象徴する動きとなっていた。(ワシントン=青山直篤)
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