中国・長江のスナメリ 絶滅の危機 パンダやトキ並みの保護動物に

洞庭湖〈中国湖南省〉=平井良和
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 中国の長江に生息するイルカの仲間、スナメリが絶滅の危機にある。川辺の工業化による環境の変化などの影響で個体数が激減。地域のボランティアらが残る約1千頭の保護活動を続けている。中国政府も今年、パンダやトキと並ぶ国家1級の保護動物に指定した。

 スナメリは日本の周囲の海域でもみられるが、長江流域にいるのは淡水に適応した種で、世界で唯一とも言われている。1990年代初頭までの調査では推定約2700頭が生息するとされていたが、2017年には1千頭余りになっている。

 経済成長の途上での魚の乱獲や、ダムの建設による環境の変化の影響などが指摘され、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種とされている。まとまった個体群がいる湖南省の洞庭湖などで、ボランティアらが汚水を流す工場を通報するなどの保護活動を続けている。

 長江にはかつて揚子江カワイルカも生息しており、世界で唯一、淡水のイルカの仲間が2種類みられた流域だった。だが、揚子江カワイルカは2000年代には絶滅した可能性が高いとみられている。

 IUCNのレッドリストでは、中国本土の絶滅危惧種は1333種に上るとされている。今年、生物多様性条約の締約国会議(COP15)を誘致するなど生態系の保護に力を入れる中国政府は、長江流域でも取り組みを強化。今年から10年間、流域での野生の魚の全面禁漁を始めた。

 この政策で10万隻以上の船が操業を止めたと試算されており、失業した漁師たちの職業転換が課題となっている。(洞庭湖〈中国湖南省〉=平井良和)