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談合情報で入札中止→でも公取委に通報せず 日本年金機構

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田中恭太
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 「ねんきん定期便」などの入札をめぐる談合事件で、発注元の日本年金機構が、公正取引委員会が立ち入り検査に入る3年前の段階で談合を指摘する情報を得ていたのに、公取委に通報していなかったことがわかった。機構は内規で「原則通報」を定めているが、例外規定に準じたとみられる。

 公取委は2019年10月、印刷業者に立ち入り検査に入った。近く、26社の談合を認定する方針。機構が「通報不要」と判断した後に談合をしたとみられるという。通報があれば、公取委がより早期に談合を覚知でき、落札価格の高止まりも防げた可能性がある。

 機構や関係者によると、16年1月、定期便の作成業務の入札で談合があるとの情報が機構に寄せられた。機構は急きょ、月内に予定していた16年度発送分(約6400万通)の入札を中止。応札を希望した全社に聞き取りをした。

 しかし、いずれも談合を否定。機構は談合を疑わせる事実は確認できないとして公取委への通報も不要と判断した。再び入札をする時間がなくなり、年度当初に発送する分は随意契約で発注。入札は追って再開した。関係者によると、談合情報は機構の上層部にも報告されていたという。

 その後、公取委が調査に着手。端緒は独自に得たとみられる。

 朝日新聞が入手した機構の内規「談合情報対応要領」によると、談合情報は原則、事実関係を調べて「調査結果に関わらず、速やかに公取委に通報する」としている。一方、注釈で「匿名の情報などで、明らかに対応の必要が認められないもの」は例外だと規定。機構の対応はこれにのっとったものとみられる。

 機構は5日、当時の判断について「調査中なので回答を差し控える」とした。

専門家「原則通報望ましい」

 談合問題に詳しい上智大の楠茂樹教授(独占禁止法)は「発注側が業者に聴取しても、疑惑段階であればほぼ確実に否定される。業者が否定したことをもって情報を放置するのは雑な対応だ」と指摘する。

 一般的に発注者側は、調達手…

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