加藤登紀子さん、島根のふるさと親善大使に 新曲が「江の川挽歌」

大村治郎
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 歌手の加藤登紀子さん(77)が、江の川を題材とした新曲「江の川挽歌(ばんか)」をつくり、島根県庁で丸山達也知事に報告した。加藤さんは県のふるさと親善大使「遣島使(けんとうし)」に就任した。

 「江の川挽歌」は、江の川流域の観光振興をめざす江の川・さくらライン観光推進機構(江津市)の依頼で、加藤さんが作詞・作曲した。「暴れ川」ともいわれる江の川だが、人の喜び、あこがれを育み、命や暮らしを見つめ、天と地の気高さをたたえる川であることをうたっている。

 江の川は広島県に発し、中国山地を横切り、江津市で日本海に注ぐ長さ194キロの大河。昨年10月、歌作りのため、江の川を探訪した加藤さんはその印象をこう話した。「豪快な、スケールの大きな川なのに、すごく優しい。そして歴史が長い。島根に来ると、日本の歴史の深さ、長さを感じる。川のほとりの暮らしの中に歴史が息づいている。忘れてはいけない大切な、美しいものを感じさせてくれる。それを歌を通して伝えたい」

 「江の川挽歌」は加藤さんの3枚組みのCDアルバム「花物語」に収められている。「挽歌」と名づけたのは「長い歴史の中を生き抜いてきた人たちへの思いを込めた」からだという。

 加藤さんと島根の縁の一つが、イルティッシュ号だ。日露戦争さなかの1905年、江津市沖で沈没したロシア艦船イルティッシュ号の乗組員のロシア兵たちを地元の人々が救助した。音楽を通して日本とロシアの友好に尽力してきた加藤さんは1997年、ロシアの民族楽器グループのメンバーと江津市を訪ね、イルティッシュ号の遺品などを見学した。「イルティッシュ号のことを日本やロシアの人に、もっと知ってほしい」と話す。

 イルティッシュ号はロシアのバルチック艦隊に属し、バルチック艦隊はラトビアから出航した。加藤さんのヒット曲「百万本のバラ」はラトビアの音楽家が作曲した。そしてイルティッシュとは西シベリアを流れる大河の名前である。「いろいろな縁を感じる」と加藤さん。

 来年2月20日には加藤さんのコンサートが江津市江津町の市総合市民センターで開かれる。問い合わせは江の川・さくらライン観光推進機構(0855・92・0050)へ。(大村治郎)