大間のクロマグロに漁獲量8.3トン報告漏れ 漁獲枠に不満の声も

安田琢典、吉備彩日
[PR]

 「大間まぐろ」ブランドで全国的に知られる青森県大間町クロマグロの2021年度の漁獲量について、8・3トン分の報告漏れがあったとして大間漁業協同組合が県に修正報告をしていたことが5日、同漁協への取材でわかった。流通量が漁獲量と異なっていた。一部の漁業者が仲買業者と直接取引したため、漁協が管理できなかったことが原因という。

 クロマグロは資源を回復させることを目的に、国際的に漁獲量が決められている。県水産振興課によると、15年度から水産庁が都道府県ごとに年間の漁獲枠を割り振っており、青森県の21年度分は30キロ以上の大型が532・2トン。県はこれを漁獲実績に応じて県内16漁協(10月22日時点)に割り振り、大間漁協には245・7トン(同)が割り当てられている。各漁協は県に漁獲量に相当する出荷量を報告することが、漁業法で求められている。

 大間漁協によると、直接取引があるのではないかと10月に県から指摘され、漁業者や仲買業者らへの調査を開始。21年度の報告漏れ分が今月4日までにまとまったほか、20年度も2・6トン分の報告漏れがあったとして県に修正報告した。

 坂三男組合長は「こうした流通がないよう漁業者や仲買業者に厳しく接してきたが、非常に残念。ブランドを守るためにも、今後はさらにきちんと指導していく」と話している。(安田琢典、吉備彩日)

漁獲枠の決め方 不満の声も

 商標登録されている「大間まぐろ」の管理は厳格だ。大間漁業協同組合の組合員が大間漁港に水揚げし、同漁協で行われる競りを通じて出荷されるクロマグロには、「偽物」の横行を防ぐため、魚体の重量や漁船名とともに管理番号が記された認定証にあたるタグがつけられる。

 同漁協管内でクロマグロ漁の操業ができるのは、毎年6月末から1月末まで。需要が増える年末年始は東京の豊洲市場などで高値で取引されることが多く、2019年1月の初競りでは、278キロの「大間まぐろ」に3億3360万円の値がついた。

 同漁協の組合員約670人のうち、約130人がクロマグロ漁に携わっている。漁船は約100隻あり、同漁協の調査では、このうち20隻前後が仲買業者と直接取引していた可能性があるという。

 同漁協全体としての漁獲枠245・7トンは、クロマグロ漁に携わる個々の漁業者に分配されるが、漁業者ごとに300キロ~7トンと差がある。坂三男組合長は「個々の漁獲枠の多寡は、過去3年間の実績で決められている。多い人も少ない人もしっかりルールを守ってきた」と話す。

 一方で、漁協内での漁獲枠の決め方に不満をこぼす漁業者もいる。

 規模の小さい枠しかもらえなかった漁業者は「300キロの枠なんてあっという間に埋まってしまい、その後にとってしまった場合は海に放せと漁協からは言われる。組合員の漁協への出資金は一律で決められているのに、漁獲枠に差がつけられるのは納得いかない」と話す。

 高値で取引される年末年始まで漁獲枠の「空き」を残しておく漁業者も少なくないが、生計を立てたり、漁船の燃料費を捻出したりするには相応の水揚げが必要になるという。この漁業者は「『空き』がなくなってしまった場合、仲買業者と直接取引してでも収入を確保しようとするケースはあるだろう。今回の事案は氷山の一角だ」と指摘している。