犬虐待容疑のペット業者、県は立ち入り検査9回するも行政指導せず

高億翔、北沢祐生
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 劣悪な環境で多数の犬を飼育し、虐待したとして松本市内の「繁殖場」の元経営者ら2人が県警に逮捕された事件で、今春まで所管していた県が少なくとも9回、立ち入り検査をしていたことが分かった。ただ行政指導をしたことはなく、県はこれまでの対応を検証することにしている。

 県警は、松本市内で「アニマル桃太郎」の屋号で営業する会社の社長だった百瀬耕二容疑者(60)=同市=と、社員の有賀健児容疑者(48)=安曇野市=を動物愛護法違反(虐待)の疑いで逮捕した。松本市の山中にある繁殖場1カ所で犬362匹を虐待した疑いがある。2人は5日、長野地検松本支部に送検された。

 松本市などによると、百瀬容疑者らは市内に計2カ所の繁殖場を設け、計約1千匹の犬を飼育。第1種動物取扱業者登録をしたのは2007年だった。

 県によると、百瀬容疑者が経営していた繁殖場2カ所について、記録が残る17年から今年4月に9回、立ち入り検査を実施。その際、口頭や書面で衛生状態を注意し、書面で注意項目を示してもいたという。ただ、県食品・生活衛生課の担当者は取材に対し、「(県の対応が)必ずしも十分でなかった恐れがある」と答えた。行政指導が可能な基準に関する認識が明確ではなかった可能性もあるとして、県独自の基準を設けて再発防止を図るという。

 また、4月の中核市移行で所管することになった松本市も、9月初めの県警の家宅捜索にあわせて初めて立ち入り検査していた。

 阿部守一知事は5日の定例記者会見で、今回の事件を受けて、県内の一定規模以上の動物飼育業者に対し、立ち入り検査を実施する方針を示した。(高億翔、北沢祐生)