中国共産党が40年ぶりとなる「歴史決議」を、8日から始まる中国共産党中央委員会第6回全体会議(6中全会)で審議・採択する見通しだ。習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)を核心とする政治体制の正当性を打ち出す狙いがある。習氏にとって、決議は長期政権へ向けた重要な布石になる。
決議の名称は、「党の100年奮闘の重大な成果と歴史的経験に関する決議」だ。6中全会で歴史を何らかの形で総括することは8月末に発表されていたが、党全体会議で通常出す成果の要約「コミュニケ」に盛り込む形ではなく、重要な政策決定に対して行う「決議」とすることは10月18日まで明かされなかった。
過去には2回、「歴史決議」の重み
過去、党が歴史決議を出したのは毛沢東時代の1945年と鄧小平時代の81年の2回しかない。決議によって歴史を評価する行為が極めて重いという認識は、党内で広く共有されている。
ある外交筋は「歴史決議は単なる過去の総括ではない。現在や将来の党理念や方向性にも影響する。今回、決議を出すことに慎重論もあった」と明かす。
それだけに、習指導部は周到に準備を進めていたとみられる。内情に詳しい党関係者は、「歴史決議への準備は今春から水面下で始まった」と説明する。
文書作成にあたる「起草グループ」を束ねるのは党の理論構築やプロパガンダ(宣伝戦略)の責任者である序列5位の王滬寧(ワンフーニン)政治局常務委員だ。王氏が約18年間トップを務めた中央政策研究室や党機構改革で2018年に発足した中央党史文献研究院など、党の「頭脳」ともいうべき部門が作業を担当し、検討が重ねられてきたという。
王氏は2日、中華ソビエト共和国臨時政府の成立90周年を祝う座談会で演説し「先人の業績をしのぶことは、中華民族の偉大な復興という歴史的偉業を前進させることにつながる」との見方を示した。
ただし、過去の2回の歴史決議と比べると、その位置づけはやや異なるものになりそうだ。
毛沢東、鄧小平の時代にあって、今回見当たらないものとは……。記事後半では、そこから浮かび上がる習氏の「歴史決議」の狙いと、今後の展開について考えます。
45年の決議では、毛が唱え…
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