「なぜいじめでないという判断に」 旭川中2死亡、母が感じた理不尽

旭川女子中学生いじめ問題

本田大次郎、井上潜
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 北海道旭川市で今年3月、自宅を出た後に行方不明になっていた市立中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が遺体で見つかり、市教育委員会の第三者委員会が過去のいじめの有無などを調べている問題で、母親が5日、朝日新聞のインタビューに応じ、「学校からは『法に触れるようなことだが、いじめではない』と言われた。いじめがなければ、こんな結果にならなかった」と明かした。

 また、広瀬さんが中学1年だった2019年6月、トラブルになっていた生徒らの前で「死にたい」と言って川に入り、自殺を図っていたことが、北海道教委が遺族に開示した文書でわかった。

 母親によると、広瀬さんは中学入学後の19年4月後半から自室に閉じこもるようになった。「中学に入ってやる気満々な感じだったが、部屋で泣いたり、誰かに謝ったりするような声が聞こえるようになった」。5月の夜には先輩らから呼び出され、「絶対行かなきゃ」と泣きながら訴えたため、母親が外に行くのを思いとどまらせたという。

 道教委の開示文書などによると、広瀬さんは19年4月中旬、他の生徒らに求められて自身の画像をLINEで送った。その後も同様のことがあった。母親によると、「画像はあまりにひどいものだった」という。

 さらに6月、広瀬さんはこれらの生徒らと公園に一緒にいる時にパニック状態になり、「私のことは誰も分かってくれない。死んできます」などと言いながら、近くの川へ入ったという。

 広瀬さんはこの自殺未遂の後、病院に入院した。母親は、広瀬さんのスマートフォンを見ていじめを疑い、道警や学校に相談。「学校からは悪ふざけだとか、いたずらの度が過ぎただけだとか言われた。最後には、法に触れるようなことだが、いじめではないと言われた」と振り返った。8月下旬~9月、トラブルになった生徒らとその保護者らが母親に謝罪する場が学校で設けられた。

 一連の経緯について市教委の報告を受けた道教委は10月3日付の文書で、「客観的にみていじめが疑われる状況。(広瀬さんが)川に入った際、『死にたい』と繰り返し訴えていることから『心身の苦痛を感じている』ことが考えられる」と指摘。いじめと認知し、謝罪と今後の対応について、双方の保護者の共通理解を図るなどの必要があるとして、市教委を指導するとした。

 市教委によると、道教委から口頭で伝えられたが、すでに生徒らの謝罪が済んでおり、具体的な対応はしなかったという。

転校した広瀬さん、PTSDと診断 ほとんど通学できず

 広瀬さんは19年夏に別の市立中に転校したが、ほとんど通えず、登校しても過呼吸になったり吐いたりした。通院も続け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されたという。

 母親は「なぜいじめではないという判断になったのか。いじめがなければ、こんな結果にならなかった」と話した。

 この問題を巡っては今年4月、文春オンラインが報道した後、弁護士らによる市教委の第三者委員会がいじめの有無や死亡との関連などについて調査している。黒蕨(くろわらび)真一教育長は「第三者委員会で調査が進められているので、個別な状況についてはコメントを控えたい」としている。(本田大次郎、井上潜)

■これまでの経緯

2019年

4月 広瀬爽彩さんが北海道旭川市立中学校に入学

   他の生徒らに求められて自身の画像を送る

6月 川へ入り自殺を図る

8~9月 生徒らが母親に謝罪

10月 道教委が、いじめの疑いがあると考え対応するよう市教委に求める文書を作成

21年

2月 広瀬さんが自宅を出た後、行方不明に

3月 凍死体で発見

4月 文春オンラインが報じる

   市総合教育会議が、いじめの疑いのある重大事態として調査するよう市教委に求める

6月 市教委の第三者委員会が調査開始

8月 代理人弁護士が会見し、母親の手記と広瀬さんの名前を公表

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