電子図書館、各地で開設相次ぐ コロナ禍の休館きっかけに

近藤咲子
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 宮城県内の公立図書館で、電子書籍を貸し出す「電子図書館」が、相次いで始まった。先月20日に白石市図書館が県内で初めて貸し出しを始め、今月2日には仙台市図書館も専用のウェブサイトを開設した。コロナ下で長期の臨時休館を余儀なくされるなか、利用者に変わらず本に親しんでもらおうと奮闘する。

 電子書籍を蔵書として購入し、利用者向けに公開するのが「電子図書館」だ。専用サイトで手続きをすると、パソコンやスマホ、タブレット端末で、一定期間無料で読める。

 休館日や夜間にも利用でき、図書館に出向く手間が省ける。文字の大きさを変えたり、音声で読み上げたりと、電子書籍ならではの機能も備わる。

 県内での取り組みは、コロナ感染拡大による臨時休館がきっかけだった。

 仙台市図書館は昨年から今年にかけ、計約2カ月半休館した。2020年度の利用者数は前年度に比べて約23万人減り、貸出冊数も65万冊ほど減った。

 その一方、休館中も、本を借りたいという問い合わせの電話が毎日のようにかかってきた。図書館に来られない時にも本を読む機会を提供しようと、昨年秋ごろから検討を始め、事業費1千万円を組んだ。

 両図書館は選書にも工夫を凝らす。

 今月開設された「せんだい電子図書館」には、小説や実用書、児童書など約2千冊の蔵書がそろう。宮城ゆかりの作家の作品や東日本大震災に関する本など、郷土色の濃いラインアップが特徴だ。

 白石市図書館では、電子書籍500冊のうち、半分以上を児童書が占める。市が市内の小中学生に配布したタブレット端末からも読むことができ、子どもに家庭でも本を読んでもらうねらいがある。教職員向けに使い方の説明会も開く。

 両図書館では、利用状況を見ながら蔵書数や種類を増やしていく予定だ。破損や老朽化の恐れがなく、保管場所もとらないため、電子書籍導入は図書館にとっても利点が大きいという。

 仙台市民図書館の柴田聡史副館長は「休館中に提供できるサービスがなく、もどかしい思いをしていた。気軽に使えるので、ぜひ試してみてほしい」と話す。

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 一般社団法人「電子出版制作・流通協議会」によると、全国258自治体(10月1日時点)の公立図書館が同様のサービスを行っている。新型コロナが猛威を振るった昨年夏ごろから導入が進み、電子図書館はこの1年で倍以上に増えた。(近藤咲子)

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