第7回若者の参加を阻むもの…政治の「素人」ではダメ? 25歳は問う

2021衆院選withU30立憲

聞き手・佐藤瑞季
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 若者は政治に関心がないと言われます。政治との距離を縮めるために、何が必要なのでしょうか。10月31日投開票の衆院選小選挙区の「全国最年少」候補として岐阜5区に立憲民主党公認で立候補し、約1万4千票差で敗れた今井瑠々氏(25)に聞きました。

 ――今回の衆院選で、20代の候補者はごくわずかでした。若くして選挙に出るのは難しいのでしょうか。

 「そもそも、若い世代には選挙に出るために必要なお金、人手、ノウハウがありません。私もそうでした。よく言われたのは『選挙に出たいのに、選挙を手伝ったこともないのか』ということ。政治を志しているのに、選挙や政治家秘書の経験がないことに対して、各方面から批判されて、すごくつらかった。私は選挙の知識よりも、『こんな社会をつくりたい、これはおかしい』という思いがある方が絶対に大切だと思っています。でも、『素人だけどやります』と言うと、批判を受けてしまうのです」

若者に「刺さって」ない政治家

 ――若者は政治に関心がないと言われます。

 「その前に、候補者や政治家一人ひとりに興味がないんじゃないでしょうか。なぜなら、若者にとって魅力がない。かっこよくなくて、何を言っているかもよくわからない。若い世代にとっては何のつながりもないし、何の魅力も感じない。政治家本人が若者たちに『刺さって』いないんです」

 「身近なんだけど、あこがれる。そういう人物像を、政治家の側がつくっていく必要があります。身近さは、駅でもSNSでも、『あなた』という一人の人に向かって直接話しかけること。あこがれは、挑む姿勢を見せることで感じてもらえるのではないでしょうか」

 「小さいころ、誰に投票したのか親に聞いたら、『そんなこと聞かなくていい、大人の事情だ』と言われました。聞かなくていい、知らなくていいという政治の『タブー視』を感じます。学校でも『勉強しなさい』『校則を守りなさい』というばかりで、政治や社会の問題について『みんなはどう思うの』って聞くことが少ない。それでは議論が生まれないし、小さいころから政治を遠く感じてしまいます」

 ――ご自身の選挙を振り返って、思うことは。

 「今回の約6万8千票は、私が何か特別なことをしたわけではなく、若い世代に託したいという地域の人たちの思いが集まった結果だと考えています」

 「今は、次の選挙への怖さを感じています。次は『最年少』の候補者ではありません。期待にどう応えていくか、プレッシャーもあります。新しいことを自由にやりたいけれど、まわりの意見も大切です。感謝の気持ちを周囲に伝えながら、自分のカラーってなんだろうと考えています」

 ――メディアにも注目され、多くの取材を受けていました。

 「多くのテレビや新聞に取材していただき、反響もたくさんありました。朝日新聞の連載は、今井瑠々の物語を記者の視点で書いたものでしたね。事実をできるだけ忠実に書きつつ、読み手がいろいろな解釈ができる余地があるように感じました。テーマは『若い人の選挙』ですよね。でも、解釈や感情移入の仕方は人それぞれ。たとえば、1回目は、私が選挙に出ると言った話を夫の視点で書いていました」

 「彼は、選挙の支援のために一定期間休職させてほしいと会社に頼んで、できませんでした。制度上、パートナーも含めて復職や休職ができるようにするのは難しいのでしょうか。いろいろな職歴の人が選挙に出て、おかしいという声をあげていくことで、変えられるのかもしれません。SNSでは、『自分の妻がこう言ったらどうしよう』という反応も出ていましたね」

 「2回目の記事は、私の選挙戦で、若さと『女性』を打ち出したことを取り上げていました。SNSでは、『それでいいじゃん』『違和感を感じる必要はない』という意見が出ていました。私自身は当時『それでもいいかな』と思うところも正直ありましたが、記事になることで本当にそれでいいのかを社会に改めて問いかけるきっかけになるのだと思います」

 「選挙の常識の話も、演説の技術も、私は知らないことばかりだったし、それが記事で広く伝わることには意味がある。私に対して、『結局、何も変えられなかったじゃないか』と思われたかもしれませんが、壁は破れなかったけど全力でぶつかろうとする熱量はあったんですよ。でも、常識や技術を指導していただいたことも含めての6万8千票ですから、それを否定するつもりもありません。では次の選挙でどうするのか、これから考えていきたいと思います」

 「私のたすきには、小学校の先輩の若い後援会長が作ってくれたバッジがついていました。いろいろな形で、この地域の若い世代の人たちも一緒にやってくれた、手作りの選挙だったと思います。選挙が終わって、『初めて自分の一票に思い入れがあった』『初めて最後まで結果が気になって眠れなかった』といった声をかけられたのが印象的でした。政治に対する思いが変わった人がいるのならば、うれしいです」

「若い人がどんどん出てほしい」

 ――自分に続いて、若い人がどんどん選挙に出てほしいと言い続けています。どんなサポートがあればいいでしょうか。

 「それぞれの主張に応じて、いろいろな党から出てほしいですね。いま、国会に新しい声を届けること、若者や女性など、新しい人を送り込むことが求められていると思います。こうした政治家を増やすためにできることはいろいろあります。一番はやいのは、比例の拘束名簿で上位に若者や女性を置くこと。確実に増えます」

 「もちろん限界はあると思いますし、新しいことをできるのは現実的には野党かもしれません。立憲民主党には、もっともっと若い世代を応援する野党であってほしい。新しい社会像をめざす姿勢がみえなかったことで、今回のような選挙結果になったところもあるのではないでしょうか」

 「女性にも、もっと訴えかけてほしいですね。日本の政党は、女性、母親の票を軽視しているんじゃないでしょうか。今回、ある支援者に『母親を本気にさせてほしい』と言われました。次の世代の将来を考え、一番社会に危機感や不安がある。日本の社会をよくするためには多様な人たちの声を政治に反映することが必要で、女性や社会的弱者、LGBTQ性的少数者)に対する政策の優先順位をあげていくべきです」

 ――大学を卒業して人材育成のコンサルタント会社で勤めた経験がありますね。

 「いつかは党内で若手を育成する担当になりたいんですよ。野党第1党として声を上げていくためには、若い世代の育成は必要ですから。そもそも当選していないので、いつかですけどね。人を育てることにお金をかけなければ、国も政党も未来はありません。まずは、私自身が当選できるように、謙虚に、まわりに感謝しながら、地道に政治活動を続けていきたいと思います」(聞き手・佐藤瑞季)

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これからの時代を生きるU30世代が、社会に対して感じているモヤモヤ。政治や選挙にどんな思いを抱き、何を願っているのか、一緒に考えます。[記事一覧へ]