12歳の突き指から40年続く痛み 大学受験あきらめ、53歳で遺書
痛みに人生をのっとられたようだった。
秋田県の女性(60)は12歳の時、遊んでいた友達の体が右の人さし指にぶつかった。
突き指で、ひどく腫れた。丸1日たっても鉛筆が持てず、算数のテストも受けられなかった。
1週間後、今度は後頭部の右側が痛み出した。その晩、ひきつけを起こした。
当時住んでいた茨城県から、タクシーで東京都の大学病院に運ばれた。
検査の結果、異常は見つからず、家に帰った。
だが、右手から肩、首にかけては鈍く重苦しく痛み、右後頭部は、頭皮をつかまれてねじ込まれるような強い痛みが続いた。
右手は熱さ冷たさの感覚や触覚も鈍かった。
後頭部の痛みを紛らわそうと、髪の毛をよく引っ張って、500円玉ほどの大きさではげた。
学校を休んででも、各地の病院に足を運んだ。整形外科、脳神経外科、内科、眼科、精神科。病院内でも、診療科をたらい回しになった。
だが、診断名はつかず、原因は不明。医師は似たようなことばかり言った。
「気のせいでしょう」「怠けているだけじゃないですか」
インチキ施術師に4万円
難病を治せる――。こんな触れ込みの施術者にも、東京・銀座へ家族と会いに行った。
おなかの上でパッと炎を出して、4万円。むなしさがこみ上げた。
そのうち、「痛い」と言えなくなった。口にすれば、周りは「またか」「本当か」と反応する。
自分が傷つくだけだった。
それでも高校時代、バスケッ…