新しい資本主義、軸足は成長に? ぼやけるアベノミクスとの違い

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古賀大己 坂本純也
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 「新しい資本主義実現会議」が8日に公表した緊急提言の中身を見ると、大半は安倍・菅政権が取り組んできた施策の延長線上にあるものだ。「分配」を重視する岸田文雄首相の姿勢も徐々に軸足が成長に移っているように見え、過去との違いは分かりづらくなっている。

 緊急提言はできるものから着手し、「新しい資本主義」を「起動」させるためのもの。賃金の増加が消費を促し、企業も潤って経済成長につながるとの絵図を描き、「分配」を「成長を支える重要な基盤」と位置づけた。

 ただ、その具体策は既視感が強い。柱の一つとされた看護、介護、保育人材の賃上げは、安倍政権下の2016年の骨太の方針が「働ける環境の整備を推進するなど総合的に取り組む」と明記し、これまで取り組んできたものだ。

 企業に分配を促す賃上げ税制も、安倍政権下で導入された施策を「抜本的に強化」する形だ。8日の会合で原案から追加した労働移動を促す3年間の「支援パッケージ」も、17年の骨太方針が「労働生産性の高い職業への転職・再就職を支援」とうたったものと基本的な考えは同じだ。

 非正規労働者の待遇改善は17年の骨太方針で、「我が国から『非正規』という言葉を一掃することを目指す」とうたっている。同一労働同一賃金の徹底を企業に求めているが、正社員と非正規労働者の格差は埋まっていない。実現会議事務局によると、国内の労働分配率は50・1%で、米国の52・8%、ドイツの52・3%に比べて低い。

 「成長」のための戦略で掲げた「10兆円規模の大学ファンド」「蓄電池の国内生産拠点の立地支援」も、今年6月にとりまとめられた成長戦略実行計画の内容に沿ったものだ。今回の提言の中身は、内閣府内でも「過去の政策の焼き直しだ」との声があがる。(古賀大己)

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