自動車リサイクルどう変わる? トップランナーが語る「静脈」の役割
自動車業界が「100年に1度の大変革期」を迎えるなか、リサイクルの現場にも変化が起き始めている。「脱炭素」の流れが加速するなか、普及が見込まれる電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)は、エンジン車とは部品が異なるため、新しい対応が必要だ。トップランナーとして業界を引っ張ってきた豊田メタル(愛知県半田市)はどのような役割を果たすのか。松本忠社長(62)にきいた。
廃車後99.8%以上リサイクル
――自動車業界のリサイクルで、どんな役割を担っていますか。
「使い終えた車両は、解体業者が取り扱いに注意が必要なエアバッグやフロンを回収した後、解体します。エンジンやバンパーといった部品が取り外され、中古部品や素材として販売されます。残った車両を、当社でリサイクルします。シュレッダーで粉砕し、鉄や銅、樹脂といった素材に分けます」
「粉砕後には、『ASR』という細かいダストも出ます。こうしたダストもできる限りリサイクルするため、大きさや重さで、素材ごとに分けます。精度を上げるため、画像認識で識別する技術も採り入れる予定です」
――自動車は、どの程度リサイクルされるのでしょうか。
「廃車後の99・8%以上です。鉄やアルミは各メーカーへ販売し、再び車へと戻ります。また、ASRは素材としてのリサイクルが難しい場合、鉄スクラップと組み合わせて加工し、電炉製鉄会社の鉄原料かつ燃料にします。リサイクル率を高めるため、独自に考案した取り組みです。血液でいえば、自動車をつくる過程が動脈だとすれば、我々は静脈として資源を循環させています」
トヨタも出資
――トヨタ自動車も出資していますね。
「完成車メーカーが出資する…