岐阜和傘の後継者育成を支援 和楽器バンドが募金活動
ギター、ベース、ドラムに、尺八、三味線などが融合した演奏で人気のロックバンド「和楽器バンド」が、岐阜市で江戸時代から盛んに生産されてきた「岐阜和傘」への支援を呼びかけている。後継者の育成に役立ててもらおうと、全国ツアーの会場で募金活動をして、ステージでも和傘を使ってその魅力をPRしている。
バンドは2013年、尺八や三味線など和楽器奏者ら8人で結成。14年にメジャーデビューした。
昨年、需要の低迷と新型コロナウイルスの影響で三味線メーカー最大手の「東京和楽器」(東京都)が廃業の危機に陥っていることを知り、日本の伝統芸能や文化をサポートする募金活動「たる募金」プロジェクトを始めた。
ライブ会場に募金箱として「たる」を置き、支援を呼びかけたところ800万円あまりが集まり、東京和楽器に寄付。第2弾として広島県福山市の琴工房「福山琴」を支援。第3弾に岐阜和傘を選んだ。
ボーカルでリーダーの鈴華ゆう子さんは3年前、和傘職人の河合幹子さんが考案した桜の花びらをモチーフにした和傘をSNSで知った。開いたときの香りやのりがはがれる感触が気に入ってライブで使い始めたが、岐阜和傘も存続の危機にあると知った。
全国ツアーは8月末に始まり、今月末までに28都市で30公演を予定している。集めた募金は、傘の骨を束ねる「ろくろ」や竹骨をつくる職人らの後継者育成に役立てられる。
ステージで使う約50本の和傘は、岐阜市湊町の和傘販売店「和傘CASA(カーサ)」が無償提供し、その美しさを一緒にPRしている。10月4日には鈴華さんと河合さんが岐阜市役所を訪れ、活動を報告した。
日本一にも輝いた詩吟の師範でもある鈴華さんは「和傘を持つと自分が美しくなった感覚になる。もっと和傘の魅力を知ってもらい、日常生活で使うことにより伝統工芸を守っていきたい」と意気込む。
和傘を提供している河合さんは「和傘をより一層美しく見せる演出や振り付けに感動した。もっといい和傘をつくれるように頑張りたい」と話した。
募金は、和楽器バンド公式サイト(https://wagakkiband.com/contents/435522)のオンライン「たる募金」や銀行振り込みでも受け付けている。(松永佳伸)
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