第1回11歳、お母さんが心配 ひとりぼっちの部屋で想像した最悪の事態
久永隆一
11歳の少女の心は、不安でいっぱいだった。自宅の中でも、本棚と衣類を置いてあるだけの部屋。普段は立ち入らない場所だ。
「部屋から出てこないでよ」。7年前のその日、沖縄県に住んでいた仲宗根杏珠(あんじゅ)さんは、お母さんからそう言われた。いつもより低いトーンの声。たまに言う冗談ではないことを感じ取った。
もしかして。悪い想像は瞬時にふくらむ。でも、言いつけは守らなきゃ。また怒鳴られちゃう。でも――。部屋を飛び出した。
蘇る悪夢 「お母さんも頑張って」に母は
予感通りだった。命を絶とう…