母が貫いた「この子には障がいがあります。」 驚くほど変わった視線

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聞き手・鈴木裕
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 「この子には障がいがあります。」

 シンプルな言葉で、外見からはわかりにくい障がいを持っていることを伝えるオレンジ色のマークがある。

 障がいがある子どもを持つ穐里(あきさと)明美さん(47)が作った。

 「ストレートすぎるのでは」との思いもあったが、それでもこの言葉にこだわったという穐里さんの思いを聞いた。

――障がいがある子どもとの外出で感じた不安とは、どんなのものだったのですか。

 私の長男は、今、小学校3年ですが、難聴や目の虹彩に特徴があるワールデンブルグ症候群と自閉症スペクトラムの障がいがあります。

 耳が聞こえないので右耳に人工内耳を付けていますが、ちょっと見たところでは障がいがあるかどうかはわかりません。

 子どもを連れての外出で電車やバスに乗りましたが、障がいのために奇声を発することもあります。

 そんなときに、舌打ちをされたり、周囲の人たちから突き刺さるように見られたりしました。

 いたたまれない気持ちになったし、その不安から電車やバスに乗ることにためらうことも多かった。

 電車に乗るときには、なるべく人と目を合わせないようにしていましたし、「何か思われているんじゃないか」という不安が大きくて、「早く駅について降りたい」と祈っていたぐらいです。

 私の周りでも、外見ではわかりにくい障がい、例えば発達障がいなどがある子どもの親の方から「バスの降車ボタンを押してしまい、運転手さんに叱られた」「『もう大きいのに、なぜベビーカーに乗っているの』と言われた」と、同じように困った経験や不安な気持ちになったという声をたくさん聞きました。

 「うちの子は障がいがあるから、外出が不安」という悩みを抱えている親は多いのです。

――障がいを知ってもらうことで周囲の対応が変わったという体験があるそうですね。

 私の場合、息子が2歳のとき…

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    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2021年11月12日10時29分 投稿
    【視点】

    こういったささやかな、されど実際に行動に移すのに大変な勇気がいる取り組みに、私たちはもっと目を向けなければならないと思います。「多様性の尊重」という大文字の理念を具現化するためには、くらしに根ざした具体的な行動が不可欠です。 障害があ

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