「最悪の選択」 コロナで夫亡くし、子2人と無理心中図った妻に判決

新型コロナウイルス

新屋絵理
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 新型コロナウイルスの感染で夫(当時53)を失い、将来を悲観して10代の子2人と無理心中しようとしたとして、東京地裁は9日、殺人未遂の罪に問われた東京都内の女(47)に懲役3年保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。神田大助裁判長は「最悪の選択だ」と批判しつつ、子らが「母と一緒に生活したい」と訴えたことをふまえて刑の執行を猶予した。

 判決によると、夫が感染による肺炎で亡くなった約1週間後の今年4月、被告自身や長女の感染も判明。感染による倦怠(けんたい)感も相まって将来に不安を募らせた被告は無理心中を決意し、高校生の長女と大学生の長男の胸を包丁で刺した。長女は全治1カ月、長男は全治約10日間のけがをした。

刺された子2人、母の服役「希望しない」

 判決は、被告の当時の心理を「相当に動揺し混乱した状態と想像できる」とした一方、背景事情をふまえても「犯行は正当化できない。現実から逃避した動機は身勝手だ」と指摘した。

 ただ、子らが被告の追い詰められた状態を思いやり、「刑務所に入ることは希望していない」としたことなどから刑の執行を猶予した。

 判決言い渡し後、神田裁判長は被告に対し「これから大変なことが待っていると思うが、しっかり歩いていくことでしか償えない。その姿を子どもが見ている。今度は絶対に逃げないで」と説諭した。被告はうなずいていた。(新屋絵理)

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