キリンビール社長、急逝布施氏の後任に堀口氏「重たいバトン継いだ」

山下裕志
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 キリンホールディングス(HD)は9日、傘下のキリンビール社長に、キリンビバレッジ社長の堀口英樹氏(59)を充てる人事を発表した。来年1月1日に就任する。「お客様第一」を掲げて業界トップシェアを奪還後、9月に心室細動のため61歳で急逝した布施孝之氏の事実上の後任。遺志を受け継ぎつつ、さらにキリンを成長させる手腕が問われる。

 「大変重たいバトンを受け継いだ。前任(の布施氏)がつくってくれたものをしっかりと受け継ぎながら、私の強みをプラスしてさらに発展させていく。実行して、結果を出していく」。堀口氏は9日夜の記者会見で、こう語った。

 慶応大商学部を卒業し、1985年にキリンビールに入社した。30代で米マサチューセッツ工科大のMBA(経営学修士)課程に留学。40代後半以降は、ウイスキーの米国子会社や小岩井乳業の社長を務め、16年に清涼飲料などを手がけるキリンビバレッジの社長に就任した。

 収益性の低さが課題だったキリンビバレッジで取り組んだのは、「選択と集中」だったという。商品ラインアップを絞り込み、主力の「生茶」や「午後の紅茶」に経営資源を投入した。健康志向に応える商品にも力を入れ、「無糖」や「乳酸菌」をキーワードにした商品の販売を強化。キリンビバレッジの利益率改善につなげたという。

 布施氏の急逝後、キリンビール社長はキリンHD社長の磯崎功典氏が兼務してきた。磯崎氏によると、布施氏の口から生前、後継候補として堀口氏の名前が挙がることがあったという。

 磯崎氏は会見で「利益を生み出し続けなければ次の成長はないと、強い思いを持つ堀口であれば、大いに手腕を発揮してくれると期待している」と語った。

 ビール市場は長期的に縮小傾向にあるうえに、さらに新型コロナ禍で飲食店向けの販売が大きく落ち込んだ。堀口氏は、ビールだけではなく、グループの子会社などで様々な経験をしてきたことこそが強みだと自負しているという。「環境変化に迅速に対応していくことと、ぶれない哲学とを両立させて、多くのことに挑戦していきたい」と意気込んだ。

 キリンビバレッジ社長の後任には、キリンHD常務執行役員の吉村透留(とおる)氏(57)が来年1月1日付で就任する。(山下裕志)