太陽光発電が集まる町、土砂崩れ相次ぐ 安全設備造らぬ業者に指導も

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西堀岳路
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 太陽光発電施設が多数建設されている埼玉県西部の比企地域で、ここ数年、施設隣接地からの土砂崩れなどが相次いでいることが住民グループらの調査で分かった。災害防止用設備の不備が見つかったケースもあり、周辺自治体では、乱開発の恐れがあれば抑制する条例を設けようという動きも出ているが、効果的な規制を望めないのが現状のようだ。(西堀岳路)

 小川町下里の太陽光発電施設の建設工事現場では今年7月28日夜、30分ほど強い雨が降った直後、造成中の急斜面から土砂が流出して隣接する道路と、それに続く住宅敷地を埋めた。住民の男性(78)は「厚さ10センチほどの泥が家の外壁にも押し寄せた。50年住んでて、こんなの初めて。台風接近の天気予報があるたびに怖い思いをしている」と話す。

 昨年10月には嵐山町志賀で太陽光発電施設の下縁部から崩れた土砂が、斜面下を走る東武東上線の線路近くに達した。越生町小杉では2019年3月、建設中の発電施設の急斜面から2メートルほどの大きさの岩が通学路にもなっている町道へ落下、10月には同じ場所で土砂が崩れて町道をふさぎ復旧に数日かかった。町によると、業者が計画で示していた雨水貯留施設や擁壁などの安全設備を造っていなかったため、設置するよう指導中という。

 また、ときがわ町によると、町内では水田へ泥水が流れ込むなどの被害があったという。

 こうした状況に鳩山町は、今年12月の町議会に乱開発を抑制する条例案を提出する構えだ。急斜面地などに開発の「抑制区域」を設け、住民から要望があれば環境や安全に悪影響がないよう業者が住民と協定を結ぶことを義務づけるなどの方向。越生町や、過去に小規模の土砂崩れが町内であったという滑川町も、年度内に同様の条例を設けようと検討中という。

 ただ、鳩山町も滑川町も、違反に罰則規定を設けるなどの強い規制は見送った。両町の担当者は、日高市が太陽光発電施設建設を規制する条例を制定したところ、開発業者と地権者から昨年、財産権の侵害だとして事業を進める権利などの確認を求める訴訟をさいたま地裁へ起こされた例を挙げる。

 鳩山町の担当者は「罰則がないと効果が薄いのはわかっているが、訴訟リスクは避けたい」と言う。「町民の安心安全にはかえられないので、今回はまず第一段階と考える。裁判を注視し、国の動向も見ていく」。滑川町の担当者も訴訟に触れ、「国が進める太陽光発電に町が反発する形はとれない」と明かした。

 他にも小川町などでは、施設計画に、森に住む希少動物の保護や里山の景観維持を求める住民らが反発している事例が複数ある。

■住民「推進する国が歯止めを…

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