アベノミクス「影のプロデューサー」 自説見限る現実主義者の面も

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編集委員・原真人

評伝 中原伸之さん

 この四半世紀ほどを振り返って日本経済の表舞台、裏舞台でこの人ほど縦横無尽に、さまざまな舞台で影響力を発揮した経済人はいなかったのではないか。

 中原伸之さんの起伏に富む人生の前半はエネルギー業界の重鎮として、後半はアベノミクスや異次元金融緩和の仕掛け人としての存在感の大きさが挙げられる。その間、政界要人たちのブレーンでもあり、経済学賞や大相撲、空手などの大スポンサーとしても広く知られ、さまざまなジャンルで影響力を行使してきた多才の人だった。

 石油精製大手の東燃(現ENEOS)の事実上の創業家に生まれた。プリンスとして就任した社長時代には、持ち前の研究熱心さや人脈づくりのうまさから国内外のエネルギー業界を代表する論客として名をはせた。世界的ベストセラーになったダニエル・ヤーギン氏の著書「石油の世紀」で、日本のエネルギー業界からただ一人、取材協力者として挙げられたほどだ。

 会社経営は順調だった。だが、大株主である米石油メジャーのエクソンやモービルから高配当を要求されて対立。事実上の解任に追い込まれた。長期的な視点から内部留保を手厚くする日本的経営、株主配当を優先する米国的経営。その摩擦が生み出した象徴的な解任劇として注目された。

 無念のうちにエネルギー業界を去った中原氏が、次に情熱を傾けたのが金融政策だ。産業界の視点から日本銀行に物言うことができる論客として、政権や経済界の推薦で日銀政策委員会の審議委員に送り込まれた。

 日銀では金融緩和に慎重な執…

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