有人月探査、1年後ろ倒し NASA「もともと実現不可能だった」

ワシントン=合田禄
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 アポロ計画以来の有人月探査を目指す「アルテミス計画」で、米航空宇宙局(NASA)は9日、2024年の目標としていた飛行士の月着陸を1年遅らせて25年にすると発表した。もともとは28年だったが、トランプ政権が2期目の任期に間に合うよう約4年前倒しした経緯があり、実現が疑問視されていた。

 有人月探査計画は米国が主導し、半世紀ぶりに飛行士を月に着陸させるほか、月面基地を建設して長期滞在も目指す。月を回る軌道に新しい宇宙ステーション「ゲートウェー」を建設する構想もあり、日本も参加を決めている。

 NASAはすでに、月に降りる米国人飛行士を選定済みで、現在、新たなロケットや宇宙船を開発中。無人の飛行試験を来年2月、有人の試験を24年に実施する予定だ。計画に協力する日本などの飛行士も今後加わる見込みだ。

 NASAのビル・ネルソン長官は、トランプ政権の計画は技術的に実現不可能だったことや、着陸機の選定をめぐる訴訟があったこと、新型コロナウイルスの影響で開発が遅れていることなどを後ろ倒しの理由に挙げた。その上で、「計画に大きな影響はない。20年代後半にはゲートウェーを発展させ、30年代後半には人類が火星へ行く」と話した。(ワシントン=合田禄)