民俗学会会長が福島で漁船員に 政府や東電「分かろうとしていない」

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笠井哲也
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 日本民俗学会会長の川島秀一さんは、漁船の乗組員になって3年半になる。原発事故後の福島の漁村に住み込み、地元の人たちと苦楽をともにしている。民俗学者が海の上から見た福島のいま。そして、政府や東京電力に感じる違和感とは。(笠井哲也)

かわしま・しゅういち 1952年、宮城県気仙沼市生まれ。法政大学の社会学部卒業。神奈川大学の特任教授、東北大学の災害科学国際研究所教授などを歴任し、現在、日本民俗学会の会長。著書に「津波のまちに生きて」(2012年)、カツオ一本釣り漁師の日常を追った「安さんのカツオ漁」(15年)、「春を待つ海―福島の震災前後の漁業民俗」(21年)など。

 東北大の教授も務めた川島さんが暮らすのは、福島県北部の新地町だ。東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた釣師(つるし)浜の漁港は施設が新しくなり、道路もきれいになった。一方、目と鼻の先にあった集落は高台に移り、人と海の距離は遠くなった。

 「港に家族が気軽に手伝いに来られなくなった、と漁師さんたちは言います」。一仕事終えて陸(おか)に戻った川島さんが腰をかけて言った。朝日が海面を照らし、心地よい風が通り抜ける。

 民俗学者として、全国各地のカツオ漁や追い込み漁の船に乗り込んで調査をしてきた。新地町に移り住み、乗子(のりこ)(乗組員)になったのは2018年4月のこと。なぜだったのか。

 「聞き書き調査の限界みたい…

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