みかん収穫でウィンウィン 筑波山ろくで農家と障害者連携

庄司直樹
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 筑波山麓(さんろく)特産の福来(ふくれ)みかんを介して、農家と障害者施設が手を携える試みが茨城県つくば市石岡市で始まっている。農家側は人手不足の悩みを解消でき、施設側はやりがいと賃金を得られるウィンウィンの関係だ。

 近年注目を集める、農業と福祉の「農福連携」に取り組んでいるのは、つくば市国松で七味唐辛子をつくるエコファーム飯島と、石岡市鹿の子4丁目の知的障害者授産施設しろがね苑(えん)。

 青空が広がった4日、石岡市八郷地区にあるみかん畑で、知的障害のある5人が収穫作業をしていた。木の枝にたわわになったレモン色の福来みかんを、はさみで丁寧に切りとり、かごに集めていく。

 川面(かわつら)秀市さん(20)は「ふだんは施設で座りっぱなしの作業が多いので、屋外で体を動かせるのが楽しい。天気がよいと最高の気分」。この日は朝から夕方までに10箱(計100キロ)分を収穫した。

 福来みかんは、筑波山周辺に古来育つかんきつ類。直径3センチ程度と小ぶりで、すっきりとした酸味と香り高さが特徴だ。一帯は国内のみかん栽培の北限とされる。

 連携は、エコファーム飯島の飯島朗代表が持ちかけた。飯島さんは、チョウザメが泳ぐ水槽の水で農作物を栽培する「アクアポニクス」という循環型農法に取り組む。福来みかんの皮や、この農法で育てたトウガラシなどを用いた七味唐辛子は、百貨店の通販カタログにも掲載される人気商品。ただ、従業員がおらず、みかんの収穫は1人で担っていて負担だった。

 社会福祉法人の白銀会(長谷川浅美理事長)が運営する、しろがね苑には、18歳から58歳までの56人が入所利用する。特別支援学校などの卒業生らを受け入れ、生活・職業の自立に役立つ力をつける訓練をしている。一般企業への就職を希望する20代、30代が多い。農家が加工、流通まで手がける6次産業化の取り組みを体験できる連携の呼びかけは歓迎だった。

 昨年から準備を進め、今年春から年間計画をつくって本格的に共同作業をスタートさせた。これまでにトウガラシの苗の棚上げや収穫を実施。今回のみかんの収穫には、ふだんは施設の畑などで葉物野菜などの栽培に関わっている約15人が参加した。みかんの皮むきも請け負っている。

 飯島さんは「これまで1カ月から2カ月もかかっていた収穫作業が5日もあれば完了する。果実がよい香りを放つタイミングを逃すこともなくなった」と連携に手応えを感じている。

 両者は今後、廃棄処分しているみかんの果汁を使って新たな商品開発ができないかなど、さらなる協力を目指す。しろがね苑の大山修一苑長は「障害者の士気が上がるほか、外部の様々な人たちと触れ合いがあり、就職に向けて格好の実践の機会となっている」と喜んでいる。(庄司直樹)